人口2600万人を有する上海で一部の居住区が一か月以上も封鎖され、さまざまな混乱が生じて市民の怒りが沸騰しています。市民は中共に対するさまざまな不満をインターネットに続々と投稿しているほか、街頭で抗議する人もいます。専門家は、中国では今、中共が恐れていることが起きていると考えています。
中共は最近になって新たな言論統制を開始し、インターネットに投稿された当局に対する不満をフィルタリングしています。英日刊紙「ガーディアン」は4月20日、「中共は市民にいわゆる『ポジティブなエネルギー』を発揮するよう促しながら、一方で人民に『口を閉じろ、さもないと罰するぞ』と警告している。さらにドローンを飛ばして警告を流し、緊張した局面にさらに拍車をかけている」と報じました。
中国国内の特定サイトのブロック状況が分かるGreatFire.com(グレートファイア ドットコム)の創設者は、中共は中国の複数の都市で同時にデモが発生することを、自身の統治に対する挑戦になると恐れているとして、「彼らがこれまでに、このようなことがインターネット上で発生すると考えたことがあるかどうかは定かでないが、今起きつつある」と指摘しています。
この人物によると、2月以降立て続けに発生した「鎖につながれた女性事件」やロシアとウクライナ戦争、そして上海の都市封鎖といった事件において、中共はすでにこれらのテーマに関する投稿を完璧に統制することはできなくなっていると指摘し、「人民は政府に対する信頼感を失った。彼らは政府の言うことをあまり信じていない」と話しています。
中国政法大学国際法修士の頼建平(らい・けんぺい)氏は、上海の都市封鎖は人民の生活を苦境に追いやり、誰もが恨みを抱いていると指摘しています。
中国政法大学国際法修士の頼建平氏
「これは一種の運動式措置だ。今後、緩む可能性は低いと思う。彼らが本当にいわゆる『ゼロコロナ』を成し遂げない限り、これは今後もずっと続くだろう。さらなる災害、さまざまな怨嗟の声、あらゆる闘争、いろいろな不可思議な事件が次々と発生するだろう」
4月中旬から、中国のSNSには人々の不満や批判があふれています。『上海人の忍耐はすでに限界に達した』『上海の故人』『春の日は君にかくも厚情を寄せる』の三つの投稿は、上海に住む人々の置かれた悲惨な状況を綴ったもので、インターネットで広く拡散されましたが、即座に削除されました。
すると上海の住民は街路樹や街灯に「人々は今死につつある」「この内容は規則違反により閲覧できません」「無期限都市封鎖に反対する」「死亡者リスト」などと書かれた布を掲げるようになりました。
14日午後、浦東新区の複数の居住区の住民が街頭での抗議活動を開始し、当局に対し、一般住宅や居住区付近の学校の仮設病院への強制的な転用に強く抗議しました。当局は治安維持警察を出動させてその場を鎮圧しました。
カナダ在住の中国人作家、盛雪氏は、中共の感染症対策によって庶民は我慢の限界に達していると考えています。
カナダ在住の中国人作家 盛雪氏
「庶民は今、これ以上我慢できなくなっている。民衆の怒りが沸騰し、庶民はもはや恐れずに外に出て、自由を求め始めた。都市封鎖を継続していくと、中共はおそらく大きな困難に見舞われるだろう。彼ら自身を身動きできないようにしてしまう鎖になるかもしれない」
盛雪氏は、都市封鎖を継続しなければ、中共は民衆がこうした各種感染症対策を二度と受け入れなくなるのではないかと案じていると指摘しています。
カナダ在住の中国人作家 盛雪氏
「現在、多くの上海市民が中共の国歌の歌詞まで使って、彼らの自由への訴求と奴隷になるのは嫌だという心の声を表明している。だが上海人だけこうした行動に出ても足りない。なぜなら中共は国の暴力と武力を直接的に動員して武力で鎮圧できるからだ」
盛雪氏は、中国でたくさんの地域でたくさんの民衆が街に出たら、中共の独裁政権の瓦解に向けたターニングポイントがようやく到来すると指摘しています。
最近、ウェイボーもネットユーザーの戦場と化しています。14日早朝から、「米国は世界最大の人権赤字国」「『人民日報』がこの10年間で追った夢を語る」「上海で感染症に関する多くのデマが発生」といったトピックのコメント欄が口論の場になっています。ネットユーザーはスレッドの中で都市封鎖中の民衆の生活の悲惨さを述べ、江蘇省の『鎖につながれた女性』やその他の言論弾圧、不平等について列挙しているほか、中共が反米感情を利用して国民の目を中国国内の矛盾からそらそうとしていると批判しています。
こうした発言が削除されると、ネットユーザーはまたもや新たなトピックを立てて中共を批判し、中共国歌の出だしの部分「起て!奴隷となることを望まぬ人びとよ(起來、不願做奴隸的人們)」にハッシュタグをつけて投稿するようになりました。しかし、この歌詞も検閲の対象となっています。
中国の民主公益活動家の董広平氏は、「中共は(中共建国)当時、社会の最下層の民衆を扇動して権力を奪ったがこの時に使った言葉が『起て!奴隷となることを望まぬ人びとよ』だった。今民衆はこの歌詞を使って彼らに反抗し、彼らを怯えさせている」と指摘しています。
ですが一方で、「真に目覚めた人々は、単に中共に不満を抱いているだけではなく、中共の独裁政治に対し明確な認識を持つ必要もあるのだ。つまり、たくさんの陳情者や人権活動家のように、人民の権利を守る過程で、中共の独裁政治、人治が中国に与える危害を本当に認識した人。こうした人こそが覚醒した人なのだ」と話しています。