NASA長官「中国の宇宙開発について把握していない」

進む中露の宇宙開発に米当局が懸念

中国共産党は、宇宙開発について、現代戦の戦局を左右する重要な領域だとして、積極的に開発を急いでいます。しかし、米政府は中共当局が進める宇宙開発について、実際どの程度把握しているのでしょうか?米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官が米上院歳出委員会でこのことについて説明しました。

中共当局は、米国に対抗できる「宇宙強国」を目指し、中共軍主導で野心的な宇宙開発を進めています。

4月12日、米国防総省傘下の国防情報局(DIA)が発表した宇宙における安全保障に関する報告書によると、中国とロシアが2019年から21年までの間に宇宙空間の軌道上にある衛星の数を合わせて約7割増やしたとし、中露による宇宙開発に危機感を示しました。

ここ数十年、宇宙開発競争がより一層際立ち、現在では宇宙における民間の最先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」が進められています。

宇宙分野での軍拡により、人工衛星の安全が脅かされる可能性があります。衛星が損壊され、不具合が生じると、自動車へのガソリン供給や、銀行からの借入に至るまで、あらゆる面で影響が現れるようになります。

来月、中共当局は有人宇宙船「神舟14号」を打ち上げて、宇宙ステーションの中核部分「天和(てんわ)」とドッキングさせ、新たに飛行士3人を送り込む予定です。

しかし、宇宙船の打ち上げ以外に、米政府は中国の宇宙開発の進展について何か知っているのでしょうか?ネルソン長官は、「あまり把握していない」と述べています。最近、ネルソン長官は、NASAの2023会計年度予算要求に関する米上院歳出委員会で説明しました。

NASA長官 ビル・ネルソン氏
「現在、中国の宇宙計画は米政府にとって未知のものとなっています。透明性がないためです。彼らは非常に秘密主義です」

「中国の宇宙開発は、米国にとってかなり厄介なものです。中露両国の間での協力はどの程度進んでいるのでしょうか?不明確です」

ネルソン長官はまた、バイデン政権が常に原子力分野を支援していることを評価し、米国の火星探査のためにも原子力を動力源とすることが重要であると強調しました。

NASA長官 ビル・ネルソン氏
「原子力推進により、火星に早く到達することが可能となれば、天体間の距離が通常よりも短い”惑星直列”ができるまでの長い時間を待つ必要がなくなります」

1960年代以降、米国、中国、旧ソ連及びロシア、インド、アラブ首長国連邦、欧州宇宙機関など、さまざまな国や機関が火星への無人探査機の打ち上げに成功しています。

 
関連記事