「金か?それとも命か?」中国企業の創業者たちが続々とSNS投稿を削除

最近、中国の多くの実業家が自分のウェイボーアカウントに投稿した過去の発言を消去していることにネットユーザーが気づきました。成功を収めた実業家として一世を風靡した彼らはなぜ次々と世間から姿を消そうとしているのでしょうか。

中国のネットユーザーが最近、配車アプリ滴滴出行(ディディチューシン)の柳青、レノボの柳傳志、生活関連サービスの美団の王興、バイトダンス創業者の張一鳴をはじめとする中国の多くの実業家が、自身のウェイボーアカウントに投稿した過去の発言を突然消去していることに気づきました。

ウェイボーには、「一部の人が過去には『頻繁に外部の人間に対し発信し、個人の考えを広めていて、やかましかった』のに、『彼らがSNSから姿を消し、外部に声を出さなくなった』と記された投稿まで現れました。

数年前から多くの中国人実業家がリタイアを宣言し、会社の経営から退くと宣言するようになりました。EC大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)の共同創業者で会長の黄崢(コリン・ホアン)、バイトダンス創業者の張一鳴、EC大手京東商城(JD.com)の創業者でCEOの劉強東、モバイル向けショートビデオアプリ快手(クアイショウ)のCEO兼共同創業者の宿華、オンラインショッピングサイトタオバオとT-mall(Tモール)の董事長、蔣凡などはその一部です。

なぜ彼らは、何年もかけて大企業に育て上げ、華々しい業績を上げている自分の会社からのリタイアを選択するのでしょうか。なぜ彼らは、一切の発言をやめて世間から姿を消そうとするのでしょうか。

台湾韜略(とうりゃく)策進学会事務局長の呉建忠氏は、「これは彼らが選択したことではなく、そうさせられたのだ。自分のポストから降りるよう強制されたのだ。絶頂期で第一線から勇退したのではなく、保身のために退いたのだ」と分析しています。同氏は、「中共は以前は改革開放路線の下で『一部の人を先に豊かにする』政策を推進して、一部の人を先に金持ちにした。中共は彼らを改革開放や進歩のシンボルに仕立てる必要があった。しかし、企業が大きくなると、中共は再び企業に対する監督管理を復活させ、罰則を与えるようになり、『彼らの財産をすべて共同富裕』にするようになった」と述べたうえで、中共は今すべてを元通りにしようと考えており、『あなたが叫んだり怒鳴ったりするチャンスすらなくなる』と話しています。

呉建忠氏は、「これらの実業家はどんな疑いで粛清され、投獄されるか分からない。これらはすべて未知数だ。特に彼らは、過去に地方政府と密接な関係にあったので、たくさんの弱みがある。いつでも好きな時に好きな理由で消し去られる可能性がある」とも話しています。

恐らく民衆も心の中でこれらのことがわかっており、そのゆえに、当局が「馬(マー)という人物」や「馬(マー)なにがし」が国家安全保障に危害を加えた疑いで調査されたなどと発表するだけで、株価が暴落するのです。

台湾の経済専門家の黄世聰氏は、「実業家がウェイボーアカウントの投稿を消去したのは、自身の保身のためだろう。過去にインターネットに投稿した発言を掘り起こされるのを避けたいのだ。なぜなら今年は、中共第20回全国代表大会があり、派閥闘争が繰り広げられる中、これらの発言はいつでも公の場所でやり玉にあげられる可能性がある」と分析しています。

大物企業家は一般人よりも異変を敏感に察知します。黄世聰氏は、中国企業の創業者たちの動向から、中国の過去の操業環境や投資環境はすでに消滅し、中共は企業に対する粛清を進めており、政治的な意味が非常に濃厚だと指摘します。つまり、「金が欲しいのか?それとも命が欲しいのか?」と問われているということが読み取れると述べています。

 
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