新首相就任後のドイツと中国の関係

米国はインド太平洋地域に焦点を移し、中国問題に関して、欧州に協力を求めています。欧州最大の経済大国であるドイツの戦略は、世界の舞台で波紋を広げる可能性があります。新首相の就任後、ドイツの対中姿勢は変化したのでしょうか。

昨年12月、16年間続いたメルケル政権が終焉を迎え、オーラフ・ショルツ氏が新たにドイツの首相として就任しました。

ショルツ新首相は、民主主義と人権を重視する価値観に基づく外交政策を強調すると主張しています。

4月28日、就任後初めてアジア太平洋地域へ公式訪問した際、ショルツ首相は最初に日本を訪れました。ショルツ首相は、ドイツは民主主義の価値を共有する国々とより緊密な関係構築を求めており、アジア太平洋地域への最初の公式訪問が、ドイツの最大の貿易相手国である中国ではなく、日本であったことは「偶然ではない」と述べました。

メルケル政権は中共の人権侵害に目をつぶり、中国との経済協力政策を優先してきましたが、ショルツ政権はメルケル政権からの政策の転換を示しました。

ショルツ内閣の一部閣僚は、中共に対してさらに厳しい態度を取るよう求めています。

12月にはアンナレーナ・ベアボック外務大臣が、欧州連合(EU)に対し、強制労働で作られた商品の輸入禁止を求めました。これは主に中国に適用される規制です。

ベアボック外務大臣はまた、日刊紙「ディー・ターゲスツァイトゥング」で、共産中国を「組織的な競争相手」と呼び、民主主義諸国が外交政策を通じて自国の価値と利益を守るよう促しました。

しかし、それは言うほど簡単なことではありません。

2015年以来、中国はドイツにとって最大の経済パートナーです。昨年だけでも、両国は約2,700億ドル(約34兆5000億円)の取引を行っています。

ショルツ首相の日本での発言とは裏腹に、中共官製メディアは、ショルツ首相が5月初め、中国の習近平総書記とのビデオ会談で中国との協力強化を呼びかけたと報じています。

今のところ、ドイツと中国の関係に大きな変化は見られません。

〈字幕版〉

 
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