上海市で行われた2か月以上にわたる都市封鎖によって深刻な二次災害が発生し、民衆は強い不満を募らせています。一方、ある事情通は取材に対し、上海市徐匯区康平路に位置する高級幹部が住むエリアでは封鎖が行われたことがないと明かしました。中共の特権階級に与えられた防疫対策上の特権が人々の注目を集めています。
上海市民 劉慶さん
「現時点まで私たちの住んでいるところは封鎖されたことがないし、厳しい封鎖も行われていない。私はほぼ毎日外出している」
上海で都市封鎖が始まってから2か月余りが過ぎ、民衆は強い不満を募らせています。しかしある事情通は、上海の防疫対策は実は特権階級と一般市民を非常に正確に区別しており、特権階級は都市封鎖の影響をほとんど受けていないと明かしています。
上海市民 劉慶さん(仮名)
「というのは、私が住んでいるこの場所(康平路)は上海市の高級幹部が住んでいる地区だからだ。聞いたところ、こんなことがあったそうだ。彼らが都市封鎖を始めようと思ったとき、この先にある余慶路まで封鎖しようとした。ちょうど高齢者が一人出て来て、『何をしているのか、冗談だろう』と言った。その高齢者は封鎖してはならないと言って、すぐに自宅に戻って北京に電話を掛けた。その人は韓正(中共の副総理)の元上司で、韓正を抜擢した人だった。その人は韓正に電話を掛けたのだ」
現職の中共政治局常務委員会委員で副総理の韓正は、中央政府に入る前に上海の政界で40年近くを費やし、強い勢力基盤を持っています。韓正は上海時代に江沢民ファミリーの留守番役とみられていました。
上海市民 劉慶さん(仮名)
「ここ(康平路)の住民にどんな背景があるかあなたは知らないだろう。お隣さん同士が喧嘩してあなたが仲裁に入った場合、どちらかの家から恨まれると、翌日には北京から電話がかかってくるかもしれない。なぜなら一部の住民は一見目立たなくても、深い社会関係を持っているからだ」
上海市民の劉慶さん(仮名)がいう康平路は、上海市徐匯区にある道路で、「上海の中南海」とも呼ばれ、上海における実際の政治権力の中心です。この道沿いに上海で有名な住宅街があり、政界やビジネス界の名士が数多く住んでいます。
上海市民 劉慶さん(仮名)
「この道沿いでは最多で5人の陽性者が出たが、封鎖されなかった。なぜなら、この地区には二つの特徴があるからだ。一つは金持ちが多いこと、もう一つは官僚が多いこと。だから普通の人は敢えてここに手を出さない」
このほか、第20回全国代表大会の開催を目前にして、上海の都市封鎖が中共の内輪もめを外部に晒すことになりました。ある事情通は、上海市共産党委員会書記の李強は相対的に緩めの感染症政策を推進する傾向にあるが、韓正は上海でも中央の強硬なゼロコロナ実施令を実行すべきだと要求しています。上海市の官僚の多くは、韓正による(北京からの)リモートコントロールに従い、李強には従っていません。
上海市民 劉慶さん(仮名)
「上海は2か月も都市封鎖を行った。しかし今、この件に関して責任を取る人を探したところで見つからない。なぜなら、我々には議会制が行われていないからだ。我々には人民代表大会があるが、これは有名無実だ。私たちの大陸の官僚制度は、上に対しては責任を取らなければならないが、下に対しては責任を負う必要がない。中央政府の機嫌を損ねさえしなければ、ずっと官僚を続けていられるのだ」
上海では6月1日、都市封鎖の全面解除が正式に発表されましたが、一週間も経たないうちに新たな感染者が見つかったため、一部地域では再度鉄柵が設けられ、厳しい封鎖管理が行われています。