電気自動車メーカー・テスラのイーロン・マスク氏は先日、中国は今「人口崩壊」の危機に直面しており、中国は一世代進むごとに人口の4割が失われていると警鐘を鳴らしました。一方で、中共の海外駐在ジャーナリストは、人口5億人がいれば、局面は好転すると発表し、世論から注目を集めています。
「三人っ子政策を実施しても、中国の昨年の出生率は過去最低を記録した」
イーロン・マスク氏は6月6日、ツイッターを通じて、現在の中国の出生率から考えると、一世代進むごとに人口が4割減少しており、人口崩壊の危機に直面していると指摘しました。
これに対し、ある中共メディアの海外特派員はツイッターで、中国には5億人もいれば、そして若年人口の割合が高ければ、現時点よりも局面はよくなると反論しました。この人物は「14億の人口には優位性もあるが、負担でもある」とツイートしています。
カナダ在住の中国人作家、盛雪氏は、こうした言い回しは、中共の潜在的な政策を露呈させていると指摘しています。
盛雪氏は、「中共の政権樹立の初期に庶民にたくさん子供を儲けるよう強制したが、その後経済が衰退したら、人間性のかけらもない一人っ子政策を採用した。中共の経済がもう一度危機に直面したら、一体どうするつもりだろう」と指摘しています。
カナダ在住の中国人作家 盛雪氏
「このことは、中共の現在のデータが正確ではないとしても、我々に深刻な問題を突き付けている。だが、中国には少なくとも10数億もの人間がおり、彼ら(当局)がもし、中国には5億人で十分だと思ったら、中共はこの数億人に対し、どんな手段を取るだろうか。これは、すべての人が考えてみなければならない問題だ」
人口問題専門家の易富賢氏は、中共の海外特派員のツイートを「中国の人口を5億まで減らしたら、年齢構造はどのようなものになるのだろう」とのコメントを付けて引用リツイートしました。同氏はまた、「中共のデータによると、2021年の出生率は1.1しかないが、実際には台湾(0.92)と韓国(0.81)の間に位置している。次の世代は6割減少する。人口雪崩だ!」とも指摘しています。
中国の元教員の劉さんは、中国の人口問題はかなり深刻で、中共は10年前の国勢調査ですでに、中国は超低出生率時代に入ったと認めていると話しています。
中国の元教員 劉さん
「このような傾向は早くから露呈していた。中国の人口はここ数年ずっと急激に減少している。高齢化や男女比のアンバランス、労働力不足などだ。中共もこの傾向を認識しており、三人っ子政策を打ち出したのもそれが理由だ。つまり中国の一人っ子政策の必然的帰結なのだ」
中共は1970年代末から一人っ子政策を開始し、中国全土で強制的な中絶や卵管結紮、二人目を生んだ家庭への高額の罰金などの強制的な手段を講じたため、数億人の中国人、中でも女性が深刻な危害を被ってきました。
中共メディアは2013年11月、一人っ子政策によって人口増加を4億人抑制したと報じました。
中国の元教員 劉さん
「一人っ子政策がもたらした危害には答えがない。今、人口を増やそうとか、出生率を上げようとか考えても、もう挽回する手立てがない。現在の若者は『寝そべって』結婚しないので、子供が生まれるわけがない。中共統治下のこの混乱した状況では、計画出産は氷山の一角に過ぎない」
2015年7月末に国連人口部は「世界の人口の展望」を発表し、今世紀末に中国の人口は6億1300万人になると予測しており、「中国統計年鑑2016」でも、中国の2015年の合計特殊出生率は1.05で、世界の一般的なレベルでの、人口置換水準に見合う合計特殊出生率2.1を半分近く下回っていることも示されています。
2016年、中共は二人っ子政策を開始し、2021年には三人っ子政策を打ち出しましたが、出生率は減少し続けています。
統計局のデータによると、2016年の出生者数は1786万人で、2020年は1200万人、2021年は1062万人でした。2022年5月には、31の省のうち16の省で出生者数がマイナス成長しています。
盛雪氏は、中共が若年層に子供を産ませるためにどんな手段を講じたとしても、彼らの予想する人口に達するのは難しいだろうと分析しています。
カナダ在住の中国人作家 盛雪氏
「中共の政策の下で、将来に希望の持てない中国人が増え続けているからだ。特にここ数年、中国人はニラと同じで、中共政権から一回また一回と刈り取られている。だからたくさんの人が子供を産むのを放棄している。そして、子供を産むことによって発生する生活面での負担に耐えるのが難しいのも確かだ」
劉さんは、将来的に中国には人口崩壊に高齢化、結婚適齢期の男女比の深刻なアンバランスといった問題が発生し、これに労働力不足や老人福祉問題の圧力などがあいまって、社会全体に不安定な禍根を残すことになると考えています。