上海市当局は、中国共産党に寄付をするよう、一般市民に求めています。当局は、寄付金を感染症対策に充てると説明しています。しかし、市民らはこの要求を快く思っていないようです。
上海の住民は、中国のソーシャルメディアに、市当局からの要求に対して不満をぶつけています。
地元住民によると、上海市当局は感染症対策を支援するために当局に寄付するよう求めているとのことです。
寄付の告知によると、寄付金の振込先は、中共支部が管理する銀行口座で、「上海市国有資産監督管理委員会」になっています。
また、中共教育部が出した通達では、教師一人当たり少なくとも100元(約2,000円)を寄付するよう勧めています。
しかし、この通達は思ったほど効果が上がらず、一部の市民は上海市が深刻な財政難に陥っているのではないかと疑っています。
上海市民 鄭さん
「これは、市が確実に財政難に陥っていることを示唆していると思う。でなければ、なぜ寄付が必要なのか?お金に困っているに違いない。都市封鎖がこれほど長く続いたのだから、相当な出費になったはずだ」
正式な告知では、寄付は任意とされていますが、多くのネットユーザーが寄付を強制されたと語っています。中には、「寄付をしない人がいると、印象が悪くなる」という警告を受け取った人もいました。また、寄付の通知を他の人と共有したり、ソーシャルメディア上に投稿したりしないよう警告するものもありました。
上海市民 黄さん
「『任意』と言いながら、実際は強制的だ。寄付をしなければならないのだ。今朝話した人たちは、皆寄付をしたくないのだが、どうしようもないと言っていた」
中国のネットユーザーからは、「他国では、政府が経済援助などの処置を講じているのに、中国ではその逆だ」と指摘する声もありました。
あるソーシャルメディアの投稿では、「住民が被った損失は誰が責任を持つのか?」「当局は過酷なコロナ対策について謝罪するどころか、かえって市民からの寄付を求めている」と指摘しています。
上海は、2か月間の都市封鎖により、著しい経済収縮に見舞われています。都市封鎖期間中、人々は自宅に閉じ込められ、工場は閉鎖されました。4月の小売総額は前年同月から50%近く減少し、ホテルやレストランの売上は70%近く減少しました。
上海市民 黄さん
「現在、中国では誰もが不安を感じている。明日がどうなるのかわからない。当局は真実を伝えない」
当局からの寄付の要求は、中国のソーシャルメディアで瞬く間に話題となりましたが、関連する投稿は間もなく削除されました。あるネットユーザーは、「上海寄付の話題が削除された。これが中国スピードだ」と揶揄しています。