中国では、建設工事が止まった未完成物件の購入者が、住宅ローンの返済を拒否する動きが全土に広がっています。アナリストは、住宅ローン返済拒否の波は単純な金融事件から経済事件に変わり、最終的には政治事件へと発展して、第20回全国代表大会を控えたこの時期の中共当局にとって「処理しなければならない爆弾」になるとの見方をしています。
今年4月から、河南省の複数の村鎮銀行から預金が引き出せなくなり、7月12日に約3000人の預金者が銀行入口に集まって横断幕を掲げ抗議しました。抗議者らはその後、警官隊によって解散させられました。
銀行が預金者に預金を返せばすぐに解決できるはずですが、中共当局は事件の収束を図ろうとしてはいません。アナリストはその理由について、一つ目は銀行に預金者に返せるだけの現金がない、二つ目は反習近平派が故意に習近平に恥をかかせようとしているのではないかと考えています。
時事評論家 江峰氏
「今のこのような大規模な集団事件は、習近平に最大の厄介事を与えている。第20回全国代表大会で再任させたくないのだ。だから習近平はこのような事件がインターネットを通して拡散してほしくないのだが、12日のニュースはインターネット上で野放し状態だった。これは明らかに習近平の力がコントロールを失った一つの空間なのだ」
これと同時に、不動産開発企業と取引しているサプライヤー企業も、不動産開発企業からの資金回収ができず、銀行ローンの返済を拒んでいます。全国21の省の200人以上の未完成物件購入者が住宅ローン返済拒否を宣言していますが、関連の未完成物件は200棟以上に上り、総額1兆元を超えます。
世界銀行の中国経済概要報告のデータに基づくと、仮にサプライチェーンを考慮に入れた場合、不動産業界は中国のGDP(国内総生産)の30%を占めているが、APEC参加国ではわずか5%にすぎません。中国経済は不動産に大きく依存しているため、もし中国の不動産物件が値崩れを起こしたら、中国経済に未曽有の嵐が派生する恐れがあることが予測されます。
歴史研究者 章天亮氏
「不動産は中国のGDPの30%を占めているが、テコを入れると、何倍にひっくり返るか分からない。だから不動産市場が崩壊した場合、損失額は中国の1年間のGDPを上回る可能性があり、非常に恐ろしい。よって不動産市場の現在の嵐は、ドミノ倒し効果を生み出す可能性がある。今回の金融の嵐は、我々が人類史上まだ見たことがないものになるだろう」
章天亮氏は、未完成物件は全国に存在し、地方政府に頼ってもすでに挽回できないほど事態が悪化しているため、第20回全国代表大会の前に中共は必ず市場救済するはずだと考えています。開発業者に資金提供して借金の借り換えを行い、未完成物件問題を解決すると見ています。
歴史研究者 章天亮氏
「中共は何が何でも、不動産市場のこの爆弾を第20回代表大会の前に爆発させるわけにはいかない。これは中国の執政における慣性に対する私の一種の予測だ」