上海のある半導体企業が、7ナノメートル(nm)技術で作られたビットコイン採掘用のチップを出荷していると報じられています。しかし、このデバイスが軍事利用される可能性があるとして、懸念が高まっています。報道をご覧ください。
上海に拠点を置くこの半導体メーカーが、生産技術の開発で飛躍的な進歩を遂げたと報じられました。
マイクロエレクトロニクス業界を対象とした技術・知財コンサルタント会社であるテックインサイツ(TechInsights)の業界分析によると、SMIC(中芯国際集成電路製造有限公司)は、7ナノメートル技術で作られたビットコイン採掘用チップを出荷しているとのことです。
これは、同社が確立した14ナノメートル技術よりも2世代進んでいるものです。
「ナノメートル」は、半導体の複雑さを表す尺度として使われるもので、数字が小さいほど、より高度なチップを作ることができます。
情報技術イノベーション財団(ITIF)副理事長 スティーブン・エゼル氏
「半導体は、ドローンから極超音速ミサイルに至るまで、あらゆる防衛用途に不可欠なものだ。人工知能 (AI)から風力発電、電気自動車(EV)、ソーラーパネルまで、世界のデジタル経済を牽引している」
SMICによる最近の開発の飛躍は、大きく驚かされることになりました。
米国は2020年後半から、中国への半導体製造装置の無許可販売を規制してきました。この規定は、10ナノメートルより小さいチップを作成できる機械を対象としています。
そのため中国の進展は、米政府の規制措置が有効であったかどうかが問われています。
SMICは以前、2020年以降、既存の14ナノメートルよりも高度な技術に取り組んでいると主張していました。
しかし、そうした厳しい制裁があるにもかかわらず、7ナノメートルの半導体チップを作ることができるというのは、懸念を抱かせるものです。特に、中共政権が進める軍備の近代化への懸念です。
情報技術イノベーション財団(ITIF)副理事長 スティーブン・エゼル氏
「今日、世界に存在するすべての兵器プラットフォームは頭脳を持っており、その頭脳が半導体であるのだ。そして、国産でより効果的な半導体があれば、防衛用途に使われるようになる。絶対にだ」
中国企業がいかにしてこの能力を身につけたかについては、テックインサイツは、SMIC社の7ナノメートルチップは、世界有数の大手半導体メーカーである台湾のTSMC社のものをコピーした可能性があると指摘しています。
テックインサイツは分析の一環として、SMICのチップをリバース・エンジニアリング(逆行分析)しました。その結果「初期イメージでは、TSMCの7ナノメートルプロセス技術のコピーに近いものであると示唆している」と報告しています。
これは、TSMCを裏付ける強力な証拠となります。TSMCは中国のSMICを、自社の技術をコピーしたとして2度提訴しています。