希望と喜びを与える芸術公演が再び日本上陸ーー。ニューヨーク発の中国古典舞踊の最高峰・神韻(シェンユン)の2023年日本公演が12月末から始まる。伝統文化の復興を目指す一流アーティストが一新された演目を通して、至高のひとときへと観客をいざなう。
神韻芸術団の日本巡回公演は、3年ぶりの開催となる。今年年末から2023年1月末にかけて日本全国の10会場を巡り、32回の公演を行う。中国古典舞踊の巧みな技、東西の古典楽器を融合させたオーケストラ、色鮮やかな衣装、豪華な3Dダイナミックバックスクリーンによって、数千年間続く文明の壮麗さを舞台に再現する。
主催者である古典芸術振興会の佐藤真知子理事は取材に対し、「2021年と2022年の2回の日本公演はパンデミックの影響で惜しくも中止となりましたが、今年は日本の皆様にご案内できることとなりました。神韻は毎年、演目を刷新しています。再び喜びと希望をお届けできることを嬉しく思います」と語った。
パンデミックが社会文化活動に大きな影響を与えるなか、欧米諸国で行動制限が解除されると神韻は公演を再開、コロナで疲弊した社会に希望と潤いをもたらした。2021年6月から2022年7月にかけて、160以上の都市で600回以上の公演を行い、観客数は100万人を大きく超えた。
政治評論家でニューヨークタイムズのベストセラー作家ヴィヴェック・ラマスワミー氏は、今年3月にオハイオ劇場で行われた神韻公演を観て、このように評した。「美しい…その一言に尽きます。多忙な日々の中、ほっと一息ついて自分を見つめることができます。何世代にもわたって存在してきた古典舞踊を通して、現在そして歴史的に自分がどのように位置づけられるかを考えさせられました。素晴らしいものでした」。
神韻の演目は「三国志」や「西遊記」をはじめとする数々の歴史物語を取り入れており、壮大な絵巻物を紐解くような感覚で観客を魅了する。神韻2019日本公演を観た元宝塚女優の華耀きらり氏は「ダイナミックだったり、時に繊細だったり、優しさもあり、時代旅行をしたような感動でした。瞬きをするのももったいないくらいの圧巻のショーでした」と感嘆した。
神韻のアーティストが着用する衣裳は全て演目に合わせて作られている。その製造から色彩まで、全て伝統的な審美眼に基づいており、多くの観客が心待ちにしている部分だ。イタリアのトリエステで神韻を鑑賞した企業CEOのアレッサンドロ・アンドルフォ氏は「装飾と布地がこれほど絶妙に組み合わされているのを見たのは初めてです」と語った。
伝統文化の復興を掲げる神韻芸術団は最先端の技術も惜しみなく取り入れている。最先端の映像技術を用いた3Dデジタル背景幕は、華やかな宮殿や聳え立つ名山、そよ風吹く大草原を描き出し、時間と空間を超えた臨場感あふれる体験をもたらす。
神韻2022台湾公演を鑑賞した台湾文化部(文部省に相当)の李永得部長は「伝統文化と現代の技術を完璧に融合させていることに感服しました」と賞賛、「非常に高水準の芸術公演で、世界中の人々が鑑賞すべきです」と述べた。
神韻芸術団は失われた中国伝統文化の復興を掲げ、2006年にニューヨークで設立された。中国には数千年の歴史と精神性に深く根ざした文明があり、古来より仁徳や思いやり、忠誠心、誠実さなどが重んじられてきた。しかし、中国共産党は統治への脅威として伝統文化の根絶を図り、その価値観と美しさを抹消した。
凍てつくような寒さを凌いだのち咲き誇る梅の花のように、神韻芸術団は美しい舞台を通して、伝統文化を甦らせた。そして文化の最も本質的で精華となるものを、舞踊を通して、歌声を通して世に伝えている。