米司法省はスパイ法違反でトランプ氏を起訴できるのか 元情報機関トップ「ほぼ不可能だ」

連邦捜査局(FBI)によるトランプ前大統領の家宅捜索事件は、引き続き波紋を広げています。フロリダ州の連邦地裁は12日、捜査令状と押収品リストを開示し、捜索の理由には機密文書の違法保持による「スパイ法」違反が含まれていると主張しています。一方、米情報機関の元高官は、トランプ氏を起訴することはほぼ不可能だと指摘しています。

FBIは8月8日に、フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」を急襲し、家宅捜索を強行しました。フロリダ州の連邦地裁は12日に捜査令状と押収品受領書を開示しました。

公開された文書によると、FBIは「最高機密」と書かれた文書を多数押収しています。 トランプ前大統領には、スパイ法(Espionage Act)を含む複数の法律違反の疑いがあるとしています。 一方、トランプ氏は、これらの文書はすでに機密指定を解除した文書であると発表しています。

元国家情報長官のジョン・ラトクリフ(John Ratcliffe)氏はFOXニュースに対し、現在の司法省の基準に基づくと、このようなケースを起訴することはほぼ不可能であると語りました。 たとえマールアラーゴに機密文書があったとしても、FBIと司法省は、トランプ氏がその存在を知っていて、さらに機密解除されていないことを知っていたことを証明しなければならないと指摘しています。

トランプ氏の報道官は、文書の機密指定および機密解除の権限は、米大統領にのみあると述べています。

しかし、この主張に疑問を呈する人もいます。 オバマ政権で国家情報長官代理を務めたリチャード・イマーマン(Richard Immerman)氏は、機密解除には正式なプロセスがあり、大統領が魔法の杖を振るだけで機密解除したと言えるようなことではないと示しています。

ニューヨーク・ポストのコラムニスト、マイケル・グッドウィン(Michael Goodwin)氏は文章で、ガーランド司法長官がトランプ氏の家宅捜索を命じたのは、明らかな利益相反であり、彼がターゲットにしているのは元大統領で、次期大統領選の民主党候補者のライバルであるからだと指摘しています。

保守系コメンテーターのスコット・ジェニングス(Scott Jennings )氏はCNNに対し、前大統領の私邸への家宅捜索は前例がなく、トランプ氏が起訴されるかガーランド氏が辞任するか、どちらかの結末しかあり得ないと述べました。

 
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