中共は第20回党大会の開幕を10月16日に控えていますが、中国各地では封鎖が続いています。一方、当局は外国人旅行者の入国制限を緩和する政策草案を発表しました。アナリストは、この動きには明らかに政治的な意図があると指摘しています。
この3年間、中国本土および香港、マカオでは、ウイルス対策として極端な封鎖管理とゼロコロナ政策が行われてきました。
しかし、国内での封鎖管理を強化する一方で、外国人旅行者に対しては入国規制をどんどん緩和しており、「外国からのウイルスの流入を厳しく防止する」という当局の方針とは逆行しています。
中共の文化観光部は16日、外国人旅行者の入国制限を緩和する新たな政策草案を発表しました。草案によると、国境地帯の旅行社が企画したツアーの参加者は、出入国の場所を柔軟に選べるようになります。
これに対し、アナリストは、当局は外国人の入国規制緩和による経済救済を試みているが、うまくいかないだろうと指摘します。
時事評論家 王赫氏
「この時期にこの措置が出されたのは、明らかに政治的な動機があります。この措置を通じて経済を救うと言っていますが、大規模で極端なゼロコロナ政策、都市封鎖措置はまだ各地で続いているので、この措置で中国経済を救うことは不可能です」
各地で続く封鎖管理は、経済を直撃し、人々の不満が高まっています。さらに、中国でもサル痘の感染者が初めて確認され、当局は外国人と接触しないように呼びかけています。そんな中、外国人入国規制緩和の発表は、人々のさらなる不満を引き起こしています。
時事評論家の王赫氏は、この矛盾したやり方の背後には、政治的意図が隠れていると考えています。
時事評論家 王赫氏
「この措置を通じて、習近平の国内外からの圧力を緩和しようとしています。いま誰もが習近平の左傾化を懸念し、鎖国するのではないかと心配しています。特に、欧米諸国やウォール街の大物たちは、習近平に退陣するよう公に呼びかけています。彼らの基点は、中共の指導者が代われば、その人と新たに友好関係を築くが、さもないと中共とはデカップリングを行うと言っているのです。国際資本にとってみれば、彼らはやはり中国市場で儲けたいと考えているのです」
香港はこれまで、入国者の隔離を義務付けている世界でも数少ない地区の一つでした。中共当局が入国規制の緩和を発表すると、李家超(ジョン・リー)行政長官はすぐにその流れに乗って、外国人入国者の隔離期間の短縮を発表しました。
時事評論家 王赫氏
「このような圧力の中で、習近平は国内の派閥競争をおさえるために、今回の外国人入国緩和といった措置を採って、国内の状況はすでに良くなっているというシグナルを発しているのです。これらの行動を取ることで、自信があることを示すのです。この政治的意義は、経済や防疫の意義より大きいのです」