中共プロパガンダに挑んだ電波ジャック アニメ映画が全米で上映

数々の賞に輝いた映画 「長春」(Eternal Spring 和訳:永遠の春)が、全米で公開されました。20年前に起きた、少人数の市民グループと中国共産党のプロパガンダ機関との対決を描いたアニメーション・ドキュメンタリー映画です。 この映画は、2023年アカデミー賞国際長編映画部門のカナダ代表作品に選ばれました。

新唐人テレビは、この映画の美術担当で主人公の大雄(ダーシュオン、本名・郭競雄)氏にインタビューを行いました。

政権があらゆるメディアを駆使して、あなたの信仰を弾圧するプロパガンダを始めたとしたら、あなたはどうしますか?

映画「長春」は、20年前に中国で起きた実際の出来事に基づいて制作されました。

この映画は、法輪功学習者が中共の官製テレビに電波ジャックを行った時の話です。2002年3月5日、中国東北部の長春市で十数人の法輪功学習者が地元テレビ局を電波ジャックし、中共による法輪功への中傷を暴露する番組を放送しました。法輪功学習者たちは、中共政権のプロパガンダに真っ向から立ち向かったのです。

法輪功は、「真・善・忍」の理念に基づく中国古来の精神修養法です。弾圧が始まる前の1990年代には、中国人の約13人に1人が法輪功を実践していました。

しかし、当局が1999年に全国的な迫害運動を開始してから、数百万人の法輪功学習者が投獄され、拷問を受けました。

さらに、中共政権は中国全土で、法輪功に対する憎しみを煽るプロパガンダを大々的に行いました。全国放送から地方放送まで、法輪功に対する誹謗中傷が、24時間絶え間なく流されました。

電波ジャック事件は、このような状況下で起こりました。この映画は、それを目撃した大雄氏の視点から、真実の物語を伝えています。

映画「長春」美術担当 大雄氏「本能的に、大変な危険が迫っていることがわかりました。警察の大規模強制捜査が明日あるかもしれない、と直感しました。そして、それは本当に起こったのです」

そして、人口900万人を超える長春市全域で、警察の強制捜査が始まりました。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「多くの法輪功学習者が家を離れることを余儀なくされました。多くの学習者が逮捕され、家宅捜索されました。警察は4千人以上の法輪功学習者を逮捕しました」

映画「長春」美術担当 大雄氏
「電波ジャック事件の後、警察に追われていました。だから、離れるべき時が来たと感じました」

「わたしたちが望んでいたのは、真実を伝えることだけでした」

「迫害を受けても何も言わない。殺人と放火に対しても見て見ぬふりするなら、人間と言えますか?」

大雄氏は、漫画家としても成功を収めています。作品には、グラフィックノベルの「ジャスティス・リーグ」や「スター・ウォーズ」などがあります。中国からの脱出を余儀なくされた後、彼はこの物語を映像にしたいと考えました。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「スーパーマンやバットマンなど、米国のヒーローをたくさん描いてきました。彼らは想像上のスーパーヒーローです。しかし、真のヒーローは、私たちの日常生活から生まれます。彼らは自らの勇気と努力で、ならず者政権に立ち向かったのです。彼らは素晴らしいです。私は彼らの物語をアニメで再現したいと考えました」

しかし、事件の検証は容易ではありませんでした。電波ジャック事件の主要な関係者のほとんどが投獄され、うち6人は中共警察の手によって死亡したからです。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「事件に関与した主なメンバーは刑務所に入れられました。彼らに関する情報はまったくなかったのです」

2017年に突破口が開かれました。10年間の獄中生活の末、中国から脱出した人が現れたのです。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「私たちが話の全貌を整理できたのは、主要関係者の一人、金学哲さんに会うことができたからです」

この映画は、6年の歳月をかけて制作されました。手書きのイラストだけでも、2年以上の歳月を要しました。しかし、彼にとってそれは辛い部分ではありませんでした。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「中国にいた時の、思い出したくない辛い記憶を、もう一度思い出さなければならなかったのです」

「治った傷をもう一度切り開いて、その痛みを感じなければならなかったのです」

しかし、彼は自分の気持ちは重要ではないといいます。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「電波ジャック事件に関わった人のほとんどが亡くなっているからです。彼らの家族はバラバラになってしまい、 彼らが経験したことは、私が経験したことよりもはるかに残酷なのです。私には使命感があります。彼らの志を継いで、世界に真実を伝えることです。これが私を前進させたのです」

大雄氏は、官製のテレビネットワークをジャックすることは容易ではなく、関係者には大きなリスクがあったと語ります。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「今日捕まらなかったとしても、明日捕まるかもしれないのです」

「長春」美術担当 大雄氏
「彼らは、法輪功の真実を明らかにし、中国の人々に真実を知る権利があることを知らせたいと考えたのです。真実を知ることは非常に重要なことです。誰だって捕まりたくないし、家族がおり、手放したくない生活があるのです。しかし、彼らがこのことを選択したということは、その意義が自分の個人的な生活よりも大きいことを知っているからです」

大雄氏はまた、このことは自分の国への大いなる愛に他ならないと付け加えました。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「映画では 『真の愛とは何か』についても語っています。この国の伝統的な価値観を継承する勇気を持つこと、これはこの国に対する最大の愛なのです。しかし、これは個人の選択によるものであり、誰もがこのようなことができるわけではないのです」

大雄氏は、この映画は中国の別の側面も映し出していると説明しています。

映画「長春」美術担当 大雄氏
「法輪功が中国社会に及ぼした深い影響を垣間見ることができます。また、法輪功学習者は物事をどう考えているか、なぜ彼らはこの電波ジャックを敢行したのかについても知ることができます。彼らは23年間も、中共政権の弾圧に立ち向かっているのです」

映画「長春」は、2023年アカデミー賞「国際長編映画賞」のカナダ候補にノミネートされました。

「長春」は米国のニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンDCなどで上映され、英国、カナダ、豪州でも公開が予定されています。

 
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