今月8日と15日に、中国武漢市で医療保険改革に反対する大規模な抗議デモ「白髪運動」が勃発しました。退職した高齢者が大勢集まり、医療補助の削減に反対し、抗議を行いました。
政府当局は事態の収拾に乗り出し、警察は少なくとも5人の参加者を逮捕したとされています。
そのうちの一人、武漢市出身で現在は深センに住む人権活動家の張海(ちょうかい)氏は、抗議デモの様子を撮影した動画をインターネット上に投稿したとして、19日に逮捕されました。
武漢市民・劉さん
「張海は消息不明です。人権活動家は、時に家から出ることを禁じられ、自由を制限されることもあります。自分の居住地では生きていけません。このように文書にサインをさせるのは、彼らの常套手段です。私は絶対にサインしません。捕まっても構わない。ただ強要されてサインしてしまう人も多いです」
武漢市民によると、15日に抗議活動が行われた中山公園では、警察が人々を分散させた際、多くの高齢者がバスで連行され、遠くへ連れて行かれたといいます。また、その他の現場に行った人は、公共の場所で集会をしたり、インターネット上で関連情報を公開した場合、公安当局に行政拘留される可能性があることを告知した文書にサインを強要されたといいます。
武漢市民・王さん
「今回、連行され拘束された人もいます。コロナの流行から3年、武漢は比較的深刻な地域で、皆辛い思いをしてきた中で、この医療改革は多くの人にとって利益が損なわれたのでしょう。多くの高齢者は、薬を飲むのも制限されますから」
武漢市に住む(女性の)王さんは、市外の病院に通院しています。しかし以前に陳情した記録があることから、現在も当局の監視下にあるといいます。15日のデモの動画を拡散したことで、WeChatのアカウントがブロックされました。
武漢市民・王さん
「当局は様々なグループに入り込んで、人権活動家のふりをして秘密裏に逮捕しています。その方法は巧妙で、省をまたいだ逮捕もたくさんあります。北京に多くの闇監獄を設置し、巧みに逮捕しては、北京で拘留し、何人かは現地の拘留所に送り返すこともしています」
警察は張海氏のほかに、23歳の若者も逮捕しました。さらには、応援に駆けつけたタクシードライバーや人権弁護士2名を逮捕、拘留したとされています。