『レッド・ルーレット』著者 台湾に訴え「中共を恐れないで」

中国人民政治協商会議の委員を務めたデズモンド・シャム氏が、自身の中国での経験をもとに、中国共産党トップの富や権力取引の腐敗を暴露した著書『レッド・ルーレット(Red Roulette)』の中国語版がこのほど台湾で出版されました。シャム氏は本の出版にあたり、12日、台湾で座談会を開催し、多くの人に中共政権の仕組みや中国共産党の本質について理解を深めてもらいたいと語りました。

『レッド・ルーレット』の著者、デズモンド・シャム氏が12日、台北で新著の座談会に出席しました。シャム氏はかつて、中国で不動産業を営み、政治協商会議の委員も務めました。元妻は中国の富豪であるホイットニー・デュアン(段偉紅)氏で、温家宝元首相の一族と親交があり、かつては経済界でも著名な人物でした。しかし、その元妻が2017年に突然失踪し、それから息子のために本を書くことにしたといいます。

『レッド・ルーレット』の著者 デズモンド・シャム氏
「彼の人生にとって母親は最も重要な人物の一人であるから、正直に話さなければいけないと思いました。実際この本が出たときは、元妻が行方不明になってから1年後くらいで、息子のために本を書いたのです」

『レッド・ルーレット』の英語版は、一昨年に刊行され、中共の腐敗の内幕を描いた同書籍は、欧米社会から注目を集めました。シャム氏は、本の出版前に、4年間行方不明だった元妻から突然連絡があり、「本の出版を止めてほしい」と言われたと振り返りました。

デズモンド・シャム氏
「彼女は本を出版しないでほしいと言い、脅迫的なことも言いました。この電話にはおそらく台本があったと思います。中共が台本を渡したのでしょう。彼女の隣には見張りのために誰かがいたと思います」

元妻の「失踪事件」や香港の逃亡犯条例改正反対運動に触発されたシャム氏は、中共の本質をもっと理解してもらおうと『レッド・ルーレット』の出版を決めました。台湾は中国語版を出版できる唯一の地域ですが、多くの出版社は手を出すことを恐れていました。

デズモンド・シャム氏
「本来は去年の2月に出版する予定でしたが、遠東集団が中国に6億元もの罰金を科せられたことで、白紙となりました。その後、『Business Today(今週刊)』が勇敢な一歩を踏み出してようやく出版できるようになりました」

台湾は中国共産党の脅威に直面していますが、多くの中国人がゼロコロナ政策を経験するまで目覚めなかったように、一部の台湾人も同じ状況だといいます。 また、中国の数千以上のミサイルが台湾を狙っているのに、台湾がミサイルに必要なチップを中国に提供し続けていることを例に挙げ、理解できないと語っています。 シャム氏は自らの経験をもとに、台湾に中国共産党を恐れないでと呼びかけました。

デズモンド・シャム氏
「台湾の皆さんには、何かを言うと中共を怒らせるのではないかと弱気にならないでほしいです。中共があなたを潰したいと思ったら、怒らせても怒らせなくても、あなたを潰します。違いはありません。だから強気でいましょう」

 
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