シリコンバレー銀行破綻 中国企業に影響

3月10日、米シリコンバレー銀行が経営破綻を申し立てました。その影響は中国企業にも及びました。金融専門家は、シリコンバレー銀行はかつて中国の新興企業と米国を結ぶ資金供給源でしたが、今後、これらの企業が米国の資金を得ることはますます難しくなると指摘しています。

シリコンバレー銀行の破綻は、中国の上場企業にも波及しています。例えば、13日、中国最大級のがん専門製薬会社である百済神州(BeiGene)社は、シリコンバレー銀行に1億7500万ドル以上の保険外現金預金を保有しており、同社の現金、現金同等物、短期投資の合計の3.9%に相当すると述べました。しかし、百済神州社は、同社の業務に大きな影響はないとしています。

3月13日正午現在、香港証券取引所に上場している企業のうち、ヘルスケア企業17社、TMT企業3社、金融企業1社の計21社がシリコンバレー銀行の破綻を受けて声明を発表し、企業経営に影響が及んでいないと主張しています。また、これらの上場企業のうち14社がシリコンバレー銀行と取引を行っています。

では、なぜ、多くの中国のスタートアップ企業が影響を受けているのでしょうか?

台湾の金融専門家・黄世聡氏
「米中間の若い起業家や新規事業の多くは、ここ(シリコンバレー銀行)を通じて米国とつながり、米国と金融の流れを作ることが多いでしょう。その比率は、若い起業家の6、7割はいるはずです。(シリコンバレー銀行の破綻は)個々の企業に与える影響はそれほど大きくなく、せいぜい資金の10%か20%に影響が出る程度でしょうが、全体としては非常に大きな影響を及ぼすでしょう」

2012年、シリコンバレー銀行と浦東開発銀行は、中国国内の技術・イノベーション企業に商業銀行サービスを提供するため、米中初の合弁銀行「浦東シリコンバレー」を設立しました。2021年版年次報告書によると、「浦東シリコンバレー」は3000社以上の企業をサポートしており、そのうち57社が「特化・新型」、つまり国家戦略によって奨励された情報技術、知能設備製造、新エネルギー、新素材を扱う中・高級企業です。

シリコンバレー銀行が10日に破綻を宣言した後、米規制当局は、より広い金融波及を防ぐために、すべての預金者の預金を保護すると表明しました。シリコンバレー銀行の中国人顧客は、相次いで次の銀行を探しています。

米エコノミスト・黄大衛氏
「多くの人は、中国のスタートアップ企業がシリコンバレーに資金を預けているという事実だけに注目しています。人々が理解していないのは、シリコンバレー銀行は中国、特に北京の上層部や中国の既得権益と非常に深く結びついているということです。なぜなら、シリコンバレー銀行は、実は貸し借り連動型だからです」

米国在住のエコノミスト・黄大衛氏は、シリコンバレー銀行も実際に一部のベンチャーキャピタルを見極めて中国企業に投資していると説明しました。ウォール街の仕組みに精通しているため、米国の主要な銀行の中には、まずシリコンバレー銀行に資金を預け、シリコンバレー銀行がトランジットをして中国企業に資金を貸し出すところもあります。これらの企業は融資を受けてもすぐに資金を使い切るとは限らないので、シリコンバレー銀行に資金を戻すのです。

台湾の金融専門家・黄世聡氏は、シリコンバレー銀行の破綻は、別の事態を招く可能性もあると考えています。

黄世聡氏
「以前は規制が緩かったため、シリコンバレーや米国のベンチャーキャピタルから中国に資金を調達する場合、こうした銀行を経由すればよかったのですが、将来的には、こうした規制が厳しくなるかもしれません。さらに、米国は今、中国の技術を封鎖しようとしています。実は資金面も、特に若い起業家のビジネス発展において非常に重要な部分ですので、今後、中国の若い起業家が米国から資金を得ることは、難しくなると思います」

中国の招商銀行や工商銀行といった中国国内の金融機関も、シリコンバレー銀行が残した隙間だらけの顧客層を取り込もうと躍起になっているといいます。しかし、中国の新興企業における米国の銀行の優位性を崩すことはできないでしょう。

 
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