「TikTok」のセキュリティ問題が現在世界的な懸念を呼んでおり、すでに多くの政府が使用禁止を発表しています。中国の軍事的脅威について研究する専門家は、携帯電話そのものがスパイであり、特にモバイル版のTikTokは尚更危険であるといいます。
ますます多くの民主主義国家が、TikTokが国家安全保障上のリスクと中国共産党のスパイ活動への助けになることについて警戒し始めています。
元米空軍准将のロバート・スポルディング氏は、エポックタイムズのインタビューに対し、「携帯電話はポケットに隠れているスパイだ」と語りました。
スポルディング氏は、「デバイスが収集したあなたに関する情報、特にTikTokアプリから収集した情報はほとんど持っていかれている」と述べています。そして、中共政権はTikTokやその他のSNSを通じて、偽の情報を送り返すのだといいます。
元ファーウェイ南京研究所エンジニア・金淳氏
「携帯電話は小さなコンピューターであり、その上収音装置やGPSがついていて、いつでも追跡できるのです。また様々なアプリが入っており、たとえ暗号化されたメッセージであっても、他のアプリにある監視ツールなどによってハックされてしまう可能性があります。つまり、携帯電話がスパイであるというのは、全くおかしな話ではなく、携帯電話によって個人の行動や経済活動、さらには思考を監視することが可能なのです」
スポルディング氏はさらに、政府職員や議員などからデータを収集する場合、脅威はより深刻だといいます。そのため、米国企業の幹部や政府関係者は、特に監視の対象になりやすいのです。
例えば、「今日誰がホワイトハウスに行き、誰と会ったのか。そこで何を話したのか。これらをすべてデータから知ることができ、毎日起きていることだ」とスポルディング氏はいいます。
ファーウェイの南京技術研究所でエンジニアとして働いていた金淳氏は、中国製の携帯電話にはほとんどバックドアがあり、携帯電話の電源を切ってもGPS信号が作動している可能性があるとみています。
金淳氏
「一般的に自由主義国家や民主主義国家では、個人情報保護法があり、政府や民間企業が特別な理由なく個人の活動に関する情報を入手することは非常に困難です。しかし、中共のような権威主義国では、そのような制限がないために、自由に使用したり運用することができるのです」
分析筋によれば、多くのオンラインプラットフォームはユーザーの習慣を収集し、それをアルゴリズム的に投影する傾向があるといい、中でもTIkTokが一番その傾向が強いとのことです。
シリコンバレーのエンジニア・鐘山氏
「TikTokやWeChatはトラッキングソフトの代表格です。これらのソフトには基本的にすべて悪事を行なっている証拠があるのです。また、中国には『国家情報法』という非常に悪質な法律があり、中国のすべての企業や個人は中共政権から要求された情報を無条件で開示しなければならないと明言されています」
一方、スポルディング氏によれば、中共は国民のTikTokの使用時間を40分以内に制限しているといいます。
鐘山氏
「中共は現在、働き手不足の問題も抱えています。もしもユーザーが過度にSNSに夢中になり、働かず何もせずの状態になってしまったら、経済が回らなくなり、社会的利益も得られません。そのため、ユーザーにSNSを使って欲しい気持ちがある一方で、過度に夢中になりすぎることに対する懸念もあるのです」
さらに、中共当局がTikTokを利用して、欧米の民衆に向けて大規模な働きかけを行い、海外でより広い影響力を行使しているのではないかという懸念もあります。
金淳氏
「TikTokを通じて、中共は政治的イデオロギーを宣伝するだけでなく、自分自身にクリーンなイメージを植え付ける宣伝もしています。 中共はたくさんの悪事を働いてきましたが、それでもメディアでは自分の良い姿を描きたいのです。たとえそれが虚偽の姿であってもです。だからこそ、TikTokやFacebookなどを通じて、自分たちのメッセージを拡散しているのです。
米国のホワイトハウスは先月27日、すべての政府機関に対して30日以内にすべての端末からTikTokを削除するよう命じ、欧州連合、日本、カナダなどでも同様の発表がされました。また、英国政府は2月16日に正式に使用禁止を発表し、ニュージーランドは議会ネットワークに接続されたすべてのデバイスでのTikTokの使用を禁止すると発表しました。