米商務省は、新たな制限を設け、520億ドル(約6兆8000億円)の半導体製造や研究資金が、中国共産党(中共)など米国にとって懸念のある国に使われないようにしました。米商務省によると、政府の補助金を受けるメーカーが規則に違反した場合、政府は全額撤回する権利を有します。 外部関係者によると、この新しい措置は、長期にわたり、中国の半導体市場で成長が期待される一部の半導体企業の努力を妨げ、中共が最先端技術を構築する力を阻止する可能性が高いといいます。
3月21日、米商務省は、中国の半導体産業への最新の規制を発表しました。
米商務省は、CHIPS法の補助金520億米ドルが企業によって敵対国への投資に使われるのを防ぐため、一連のガードレール(安全措置)を発表し、特に中国、ロシア、イラン、北朝鮮などの敵対国の名前を挙げています。
補助金申請企業は、10年間、この4カ国での投資拡大や半導体製造設備の更新が制限され、大規模な投資は10万米ドル(約1300万円)まで、生産能力の拡大は5%まで、従来の半導体生産能力の拡大は10%を超えてはならない、そして、国家安全保障上の懸念により、この4カ国との共同研究や技術供与も禁じています。
台湾の国防資源産業研究所の蘇紫雲所長
「今回の措置は、米国、日本、オランダの半導体戦略を実行したものです。極端紫外線リソグラフィやEUVに加え、深紫外線やEUV機器の管理も含まれると予測され、中共全体の半導体産業とその戦略に多大な打撃を与えるでしょう」
米商務省のジーナ・レモンド長官は、これらの規制によって、米国は今後数十年にわたってライバルに先んじることができると述べました。
また、台湾の国防資源産業研究所の蘇紫雲所長は、新たな規制は、まず第一に、中国軍の将来的な戦闘力に大きな影響を与えると考えています。
蘇紫雲所長
「さらに重要なことですが、中共のいわゆるデジタル経済に構造的な打撃を与えることになるでしょう。もちろん、中国の人権の発展にも間接的に貢献することになります。中共はこうした情報技術を使って国民を監視しているわけですから、米国による包囲網が加速・拡大することは、地域の安全保障の安定と中国の人権の発展に好影響を与えることになると思うのです」
「ブルームバーグ」が報じたところによると、今回の新たな措置は、世界最大の半導体市場である中国での成長が期待される一部の半導体企業の長期的な取り組みを妨げると同時に、北京が自国内で最先端技術を構築する力を阻止する可能性があるといいます。
3月2日、米国は中国企業28社に対し、その行動が米国の国家安全保障および外交上の利益を損なうとして、制裁リストに掲載しました。主な制裁対象となった技術系企業は、中共が将来、インテルに代わる企業と期待する「北京の龍芯(Loongson)社」です。
また、米商務省のチッププログラム室は21日、協力とグローバルサプライチェーンの強化を目的に、高官を派遣し、韓国、日本、台湾を訪問することを発表しました。 同オフィスが昨年9月に設立されて以来、台湾への高官派遣は今回が初めてとなります。