人民元の国際化は中共の大プロパガンダ

過去10年余り、中国共産党(中共)は様々な手段で国際市場での人民元決済を推進してきました。経済専門家は、中共はかつて国民に外貨使用制限を課していたのに、ここ最近は米ドルを稼ごうとしており、この動きには理由があると見ています。中共は3兆米ドル(約412兆円)の外貨準備高がなくなれば、世界は誰も中国と自国通貨で取引をしたくなくなることを理解しているのです。ある評論家は、 人民元の国際化は、中共による大プロパガンダだと指摘しています。

近年、中共は米ドルの優位性に挑戦するため、人民元の国際化を積極的に推進しています。

今年3月、ブラジルが中国との貿易を現地通貨で直接決済することを発表し、米ドルの仲介通貨としての使用を廃止しました。また、同年2月には、イラク中央銀行が、中国との貿易決済に人民元を使用することを認めると発表しました。

分析によれば、これらの国々は人民元を受け入れざるを得ない立場であり、いわゆる人民元の国際化は現時点で大きな進展が見られないと考えられています。

米経済学者・黃大衛氏
「国家備蓄としての人民元は現在、世界の国際通貨の2%程度を占めており、最高割合は2.8%、最低値は1.6%程です。いっぽう他の通貨は、米ドルが60%、ユーロが20%、円が5%程というところです。この3つが現在、世界の主要国の主要な外貨準備となっています。人民元の国際化というこのプロパガンダは、グローバルな取引において人民元が一定の地位を占めるようにすることが目的です」

経済専門家の印和闐氏がこのほど執筆したコラムで、人民元では、食料もエネルギーも高級チップも十分に買えないとした上で、人民元の本当の価値は「米ドルの巨大な外貨準備」に支えられていると述べました。中共自身も、3兆米ドルの外貨準備高がなくなれば、世界中の誰も中国と自国通貨でやり取りをすることはなくなり、そのとき人民元は「紙くず」となることを承知しています。

米経済学者の黃大衛氏は、人民元は現状、中国国内ではまだ使用価値があり、それだけでなく中共と経済・貿易交流を行っている「一帯一路」に参加している国々でも流通していると指摘しています。

評論家によれば、中国は現在世界一の輸出国であり、第3位の貿易黒字国であるといいます。そのため、人民元が米ドルに取って代わるということは、今後は大量の輸出に頼って経済成長を維持することはできなくなることを意味するとしています。

昨年4月、米国経済学者のバリー・アイケングリーン氏は、北京大学金融論集のインタビューで、 人民元は米ドルに取って代わるものではなく、それを補完するものであると語りました。

アイケングリーン氏は、歴史的に国際通貨や準備通貨は、民主主義国家、あるいはチェックアンドバランスの保たれた共和国から成るものだとし、人民元がそのような価値を持つためには中国が民主的になる必要があると主張しています。

大紀元で記事を執筆するコラムニストの王赫氏は、中共は人民元の国際化を謳っていますが、実際の取り組みは全く逆効果のことをしていると述べています。

 
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