NATO日本拠点開設 中共は四面楚歌

北大西洋条約機構(NATO)がアジア太平洋のパートナーとの関係を強化するため、日本に連絡事務所を開設する準備を進めていることがわかりました。また、韓国フィリピンの大統領が米国を訪問するなど、インド太平洋地域における米国の軍事同盟は拡大しており、中国共産党(中共)の脅威に対処するための「アジア太平洋版NATO」が具体化しつつあります。

日経アジア3日付の報道では、NATOが東京に連絡事務所を開設し、日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどの主要パートナーと定期的な協議を行う予定であると報じました。

この事務所が設置されれば、アジアで最初のNATO連絡事務所となります。

現在、日本におけるNATOの窓口であるデンマーク駐日大使館が東京にある他のNATO加盟国機関と協力プログラムについて調整を行っています。

デンマークのピーター・タクソイェンセン駐日大使は、新しい連絡事務所は単なる象徴的なものではなく、日本とNATOの関係を強化する直接的なものになると話しています。

今年1月にNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長が東京を訪れた際、岸田首相と新連絡事務所開設について協議を行いました。

両者の共同声明では、中共を「国際秩序への挑戦者」とし、いかなる地域もその力によって現状を一方的に変えられることを許してはならないと強調しています。

中共の元外交官である陳用林氏は、NATOが東京連絡事務所を開設したのは、明らかに中共が国際秩序にもたらす脅威に対しての対応であると述べています。

元中共外交官・陳用林氏
「世界の安全保障の危機における核心は今や欧州からアジア太平洋地域に移っています。特にウクライナの件で中共がとっている行動は、非常に人々を心配させるものです。 特に、中共が台湾への戦争を謳っていることは、戦争が間近に迫っていることを印象づけています」

また、両者は今年7月のNATOサミットを前に、国別適合パートナーシップ計画(ITPP)を策定し、サイバーセキュリティ、宇宙、偽情報対策の各分野で協力関係を深める予定です。

昨年6月にスペインで開催されたNATO首脳会議では、初めて日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドのアジア太平洋4カ国が招待されました。

NATOのこれまでの戦略文書で中共当局についてほとんど言及したことがありませんでしたが、同サミットでは中共が欧州と世界の安全保障にもたらす脅威が初めて議題として大きく取り上げられました。

また、同サミットは、NATOとインド太平洋パートナーシップの協力関係を強化するための一歩と見なされました。

また、インド太平洋地域における米国との同盟関係も強化されており、「アジア太平洋版NATO」が徐々に具体化してきています。

4月下旬、韓国のユン・ソンニョル大統領が訪米し、「米韓同盟はあらゆる面で格上げされ、ワシントンとともに自由の価値を守り、推進していく」と強調しました。

双方は、台湾海峡の平和と安定を重視し、米国が韓国に核の傘を提供するとする「ワシントン宣言」を締結しました。

また、フィリピンのマルコス大統領も最近、ワシントンを訪問し、バイデン大統領やオースティン国防長官と会談しました。

米国とフィリピンは防衛協力のガイドラインを発表し、南シナ海での合同軍事演習やパトロールを拡大し、リアルタイムの軍事情報共有を推進することに合意しました。どちらかが脅威を受けたり攻撃されたりした場合、もう一方の側に支援を要請することができるといいます。

台湾の国立政治大学東アジア研究所の丁樹範名誉教授は、NATOでは米国が主導しており、NATOの新しい方向性は米国の世界安全保障戦略の方向転換を反映していると述べました。

その他、中共の軍事的脅威を受け、オーストラリアは先月「防衛戦略見直し」を発表し、防衛戦略を「守り」から「攻め」に転換することを公表しました。

 
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