米国務院は22日、中国共産党(中共)の李尚福国防相に対する制裁を解除するつもりはないと明言しました。米国は中共と国防相レベルでの対話を望んでいますが、中共当局は制裁を理由に、来月のアジア安全保障会議で、李氏がオースティン米国防長官と会談することを拒否しています。
新しく就任した米国務省のマシュー・ミラー報道官は、月曜日の記者会見で、対談のために、李尚福国防相に対する制裁を解除することはないと明言しました。
記者
「国務省は、中共の李尚福国防相に対する制裁の解除を検討していますか」
米国務省のマシュー・ミラー報道官
「いいえ、それはないです。現状ここまでしか言えませんが、それは検討していません」
また、バイデン大統領も先週末、中共当局との関係改善のために、中共幹部に対する制裁緩和を検討しないと強調しています。そのうえでバイデン氏は、李氏に対する制裁を解除するための交渉が進行中であると述べました。
これに対し、ミラー氏は米国は李氏やその他進行中の制裁を解除しないと再度表明しました。
記者
「バイデン大統領は、日本での記者会見で交渉が進んでいると発言しました。つまり、バイデン大統領は違う考えをお持ちということでしょうか」
マシュー・ミラー氏
「いいえ、そうではありません。大統領は、李氏に対する制裁も、中国に対するより広範な制裁についても解除するつもりはないと明言しています」
米国は2018年、中国がロシアから戦闘機やミサイルを購入したことが制裁法に違反したとして、「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づき、中共中央軍事委員会装備開発部部長(当時)である李尚福氏に対し、制裁を科しました。李氏は米国管轄内での外国為替取引、米国金融システムとの取引、米国内のすべての財産の差し押さえ、入国が禁じられました。
今年1月以降、中共のスパイ気球事件により、米中関係はさらに悪化しています。米国は国防相レベルで中共との対話の再開を目指しています。
マシュー・ミラー氏
「私たちは、中共との互いの関心事や中共の憂慮すべき行動について、話し合うことが重要だと明らかにしています」
3月、李尚福氏は中共の国防相に就任しました。米政府関係者は、李氏に対する制裁が李氏と米政府関係者との公式会談に影響を与えることはなく、米中軍事対話の障害になるはずはないとしています。