中国では7日、大学入試が行われました。受験生にとっては、「過去最大の高卒者数」で競争倍率が増したことと、高騰する大学の授業料に向き合わなければならない現実が待っています。
2023年の中国の大学入試は7日と8日の2日間にわたり行われました。中国共産党(中共)教育部の発表によると、今年の志願者は、昨年よりも98万人増え、1291万人と過去最高を記録しました。
しかし、中国の経済情勢は悪化の一途をたどり、大学は、政府からの補助金が激減したため、授業料は今年に入ってから高騰しています。多くの大学が20年ぶりに授業料を引き上げ、中には50%以上値上げした大学もありました。
上海華東理工大学(ECUST)は4日、理学、工学、およびスポーツ系学部の授業料を54%、芸術系学部の授業料を30%引き上げると発表しました。
また、上海電機学院は5日、管理学、経済学、文学系学部の学費を30%、理工学系学部の学費を40%値上げすると発表しました。上海だけでなく、四川省の大学でも授業料が最大で41%値上げされました。北京理工大学の教授も、留学生の授業料を2万元(約40万円)から最大11万元(約215万円)まで大幅に引き上げるべきだと提唱しています。なお、これは授業料のみで、宿泊費や生活費などの費用は含まれていません。
中共ウイルス(新型コロナウイルス)が流行した3年間で、中国では経済が大打撃を受け、地方政府の歳入が激減し、それに伴い教育分野の補助金も削減されました。
時事評論家・王赫氏
「中国の教育資金のうち8割は国から賄われています。その国からの補助金のうち、9割は地方政府が支出しているのです。地方政府の歳入が減れば、使えるお金が減るわけですから、教育資金に投じるお金、特に高等教育への補助金が減るのは当然です」
国からの支援がなくなれば、大学側は収入源を生徒に求めるしかありません。
王赫氏
「大学が経営する企業や大学の国有資産など、何か収入源があればいいのですが、現在の大学ではどれも少ないのが現状です。結果として、大学の運営資金が大幅に不足しています。そうなると、学費から徴収するしかありません」
しかし、中共の政策失敗による経済悪化の重い負担を国民に転嫁したところで、「経済悪化」の根本的な問題は解決されません。このままですと、中国の教育環境をさらに悪化させることになります。
王赫氏
「中国経済全体が非常に悪い状態にあり、大多数の人々は所得が減少しています。そのような状況下で、地方の財政当局は高等教育への財政支出を少なくすることで負担を軽減しようとしています。しかし多くの一般市民の所得は減少しています。では、これは何を意味するのでしょうか。金銭的な事情で、勉強や大学進学ができない人がさらに増えることになります」
この中共ウイルス流行の3年の間に、高校を卒業する学生たちは、7日から大学入試が始まりました。難関を突破して大学に入り、金銭面の苦労を抱えながら大学に通っても、それで終わりではありません。大学卒業後には、さらに深刻な「就職難」が待っています。