最近、米商務省は、中国共産党(中共)が軍事パイロットを養成するための学校や、極超音速兵器の開発・研究を支援する団体など、43の事業者を輸出規制リストに追加しました。この動きは、中共の軍拡に対する抑止力であると同時に、他の事業体に対する抑止力であるとアナリストは見ています。
6月12日、米商務省が輸出管理リストに掲載した43の事業者には、セキュリティ、航空、および物流関連企業であるフロンティア・サービス・グループ(先豐服務)の複数国の拠点、南アフリカの航空学校テスト・フライング・アカデミー・オブ・サウスアフリカ(TFASA)の複数国にある支店、また中国航空工業集団(AVIC)の中国と南アフリカにある事業所などが含まれています。
これらの団体は、欧米やNATOのパイロットを雇用して中共軍のパイロットに操縦訓練を提供したことで、ブラックリストに登録されています。
また、中共の軍事的近代化を支援するために米国製品を取得したことで非難された事業者もいます。 例えば、上海超算科技は、中共軍の超音速研究を支援するためにクラウドベースのスーパーコンピューティング機能を提供したとしてブラックリストに登録されました。 また、パキスタンの弾道ミサイル計画やその他の兵器計画を支援したとして、多くの中国やパキスタンの企業がブラックリストに登録されています。
在米、中国政治経済オブザーバー・秦鵬氏
「この動きは明らかに、パイロットや極超音速ミサイルの開発など、中共の軍事開発能力を制限しようとするものです。 事実上、中共を戦略的敵国として扱っています。 なぜなら、中共が独自の武器やパイロットを訓練するにせよ、パキスタンなどの国にこれらのミサイルを拡散するにせよ、実際には米国や世界の安全保障を脅かしているからです。 だからこそ、米国は今、そうした企業に対して制裁を加えているのです」
在米時事評論家・藍述氏
「この制裁の主な目的は、西側の自由世界、特に米国に対する中共の軍事的脅威の増大を抑制することです。この軍事的脅威は、まず南シナ海、台湾海峡、そして台湾に対するものです。 第二は日本と韓国、そして遡ればウクライナ侵攻をしたロシアを支援することに向けられています」
近年、中共は軍事近代化事業に全面的に取り組み、国防予算は経済成長率を大きく上回り、毎年ほぼ二桁のペースで増加しています。 同時に、先端兵器の取得と軍備拡張のための資金調達を続け、南シナ海や東シナ海で軍艦や軍用機で軍事力を誇示し、台湾を撹乱し、米軍を挑発する動きを強めています。
藍述氏
「実際、中共の軍事的脅威、特に台湾海峡での軍事行動の脅威は、すでに差し迫っているのです。 習近平氏はすでに公然と、中共軍に2027年までに台湾を奪還する準備をするよう求めていますから、中共の脅威を減らし、脅威が拡大する速度を抑制するために、さまざまな方法を採用することが急務です」
昨年末に米国防総省が発表した報告書によると、中共は世界最大の海軍を持ち、350隻以上の軍艦や潜水艦を保有しているといいます。 空軍は2250機の戦闘機を保有し、世界第3位の規模を誇っています。 専門家は、超音速兵器の開発で中国がリードしていると考えています。 しかし、中共軍には実戦の経験がありません。
秦鵬氏
「中共は今、旧ソ連と同じように軍国主義の時代に突入しています。 人々の生活などどうでもよく、いわゆる強い国家の発展、軍事技術の拡大など、軍事的・政治的なことを第一に考えているのです。 そして今、米国の制裁はこれらの産業を直撃しています」
秦鵬氏は、今回の米国の制裁の意義は大きいと考えています。
秦鵬氏
「この制裁の大きな意味のひとつは、中共のハイテク技術や軍事技術の開発に手を貸している者は、欧米の敵であることを世界に伝えることです。 つまり、このような制裁を課すことで、他国に対して警告とメッセージを送ることになるのです。 そうすると、他国の先進企業が中共に協力することをためらうかもしれないという結果をもたらす可能性があります。」
中共では、戦術的な面も含めて軍事的なハイテク技術の開発が困難であるため、軍事・技術面などで欧米との差がさらに開くことになると、秦鵬氏は考えています。