中共軍「脳を制御する兵器」を開発か

最近発表されたある報告書によれば、中国共産党(中共)軍は「脳を制御する兵器」を開発しているといいます。その目的は、人々の脳機能を撹乱し、外国政府の指導者や市民に影響をもたらすというものです。この技術は、台湾などの地域に対する軍事攻撃において、互いの戦略が異なる非対称戦争の重要なツールとなる可能性があるといいます。

報告書は、『中国共産党のニューロストライク(神経攻撃)プログラムを列挙し、標的化し、崩壊させる』と題し、シンガポール国立大学東アジア研究所の上級研究員ライアン・クラーク氏、元米陸軍微生物学者の林暁旭氏、元空軍情報将校で現在は米情報機関の人工知能専門を務めるL.J.イーズ氏の共著です。

報告書は、中共のこの「脳を制御する兵器」の危険性はもはや机上の空論ではないと警告しています。これらの兵器は、脳を直接攻撃したり、コントロールしたりすることができるといい、銃のマイクロ波やその他の指向性エネルギー兵器または電磁波を発する大型兵器に使用される可能性があるとのことです。

3人の著者によれば、中共指導部は「ニューロストライク攻撃と心理戦を、米国とそのインド太平洋地域の同盟国に対する非対称戦争戦略の中心的要素と見ている」といいます。

ニューロストライク攻撃とは一種の軍事用語で、ノンキネティック(非動的)な技術を用いて軍人や民間人の脳を標的とすることです。その目的は、思考を損ない、状況認識機能を低下させ、長期的な神経学的損傷を引き起こし、正常な認知機能に影響を与えることです。

時事評論家・鄭浩昌氏
「これが長い間語り継がれてきた脳を支配する『ブレインコントロール』と呼ばれるものです。中国では、多くの人が原因不明のブレインコントロールに悩まされているとの報告がありますが、具体的な証拠を得られるまでに至っていません。現在では、この方面に関する専門的かつ体系的な研究が行われることは非常に少なく、だからこそ価値のあるものです」

時事評論家の鄭浩昌氏は、もし「脳を制御する兵器」が兵器化され、核兵器の運用者や軍または政府高官といった重要な軍事施設に対して使用されれば、その被害は甚大なものとなるだろうと語っています。

報告書の執筆者の一人である林暁旭氏は、かつて多くの人々が、中共はマイクロ波を出す兵器を使って人々の神経系を攻撃し、人々をハバナ症候群や、嘔吐、めまい、耳鳴りなど様々な身体的・精神的不調に苦しめていると認識していたと指摘しました。しかし、このような攻撃は数あるうちの一面に過ぎないといいます。

元米陸軍微生物学者・林暁旭氏
「この研究報告の目的は、中国共産党が全体的な戦略に具体的なプランを持っているという、より広範な視点を皆さんに示すことです。中国共産党自身の戦略分析や、軍の戦略に関する著作を見ると、彼らは実際に、より包括的で多角的な攻撃手法を考慮しています」

中国人民解放軍国防大学の肖天亮学長は2015年の著書『戦略学』の中で、攻撃はマイクロ波の兵器だけに限らず、脳とPCをつなぐブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)を使って、大規模に国民の精神状態や心理状態をコントロールすることも含まれていると言及しています。

林暁旭氏
「ひとつは、戦略的に敵に影響を与えることであり、もうひとつは、ある地域において、特定の事柄にまたは特定の集団に対して、パニックや恐怖などの特別な感情を作り出すことです。このように様々な攻撃方法があるのです。おそらく過去の人々はこのことに気づいていなかったでしょう」

林氏によると、中共はある特定の手法とシステムを使って、集団の認識や感情を変え、心理的に人々を破壊しようとしているということです。彼らのアプローチは、「超限戦」と呼ばれる戦略を通じて、人々の意識や感情を徐々に操作し、最終的には人々の精神を破壊することを狙っています。

報告書は、この研究のいかなる成果も、中共が新しい世界秩序を創り出すツールを提供することになると警告しています。

また報告書では、台湾、香港、南シナ海と中国及びインドの国境の4つの地域で、いわゆる「三戦」情報戦、心理戦、法律戦が進行していることから、「脳を制御する兵器」での戦争のリスクが高まっていると警告しました。

林暁旭氏
「中共軍は、軍民融合の枠組みの中で、ニューロンシステムの研究開発、ブレイン・コンピューター・インターフェイスの研究開発、マイクロ波兵器の研究開発などに多くの資源を投資し、さらにメガコンピューターをどのように利用して情報を制御するかなどの方向に向かって進んでいます。だからこそ、単なる探究という単純なものではなく、実際に研究開発、そして成果を得る方向に進んでいると言っているのです」

林氏は、中共が脳科学と神経科学に巨額の投資を行い、さらには国際的な研究者を引きつけて共同研究をさせているのは、背景に中共軍部がこれらを武器にしようとしていると指摘しています。よって、私たち国際社会はこれに十分に注意を払うべきであると警告しています。

報告書ではさらに、米軍に対し神経攻撃兵器の脅威をいち早く公表するよう求め、神経科学や認知科学研究の倫理審査など、国際的な話し合いや政策的な改善を求めています。米国は、「脳を制御する兵器」での戦争の研究に従事する特定の組織や企業のサプライチェーンを積極的に破壊すべきであるとしています。また、中共の神経攻撃プログラムを破壊するべく、「脳を制御する兵器」での戦争に関連する中共のすべての民間および軍事プロジェクトに対する制裁を強化すべきであるとしています。

 
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