在韓米兵の北朝鮮への逃亡 「わざわざ地獄へ」

数日前、在韓米軍兵士が不法に国境を越えて北朝鮮に入国し、当局に拘束される事件があり、目撃者がその状況を語っています。

トラビス・キング2等兵(23)は7月18日、共同警備区域(JSA)の見学ツアー中、突然、南北朝鮮の軍事境界線を越えて北朝鮮に突入しました。この劇的な光景に、その場にいた他の旅行者たちは大きな衝撃を受けました。

マレーシア人旅行者フェリシアさん
「このことを聞いたときは驚いたし、私がその場にいたときにこのようなことが起こったことにショックを受けました」

韓国人旅行客リーサンソブさん
「北朝鮮は私たちが思っている以上に閉鎖的な国ですが、彼(米兵)はそのことに気づいていないと思います」

目撃者 ニュージーランド人観光客サラ・レスリーさん
「当時、人々は写真を撮っているだけでした。すると突然、黒い服を着た男が、カーブに沿って、南北境界線に向かって、猛スピードで走っていくことに気づきました。 最初は冗談だと思いました。もしかしたら、TikTokに投稿するためにビデオを撮っているのだろうと。まさに世界で一番愚かなことだと思いました。しかし、彼は足を止めませんでした。その時、別の米兵が『捕まえろ』と叫んで、他の米兵も韓国兵もその後を追いかけましたが、彼は国境近くを猛スピードで走っていたので追いつくことができず、捕まえることはできませんでした」

韓国の裁判文書によると、トラビス・キングは昨年、韓国でパトカーを襲撃し、韓国軍に暴言を吐いたことで警察に起訴され逮捕され、つい最近、刑期を終えて釈放されたばかりです。

北朝鮮で外交官を務めた韓国の下院議員、テ・ヨンホ氏は、もし兵士が米国での処罰を恐れて北朝鮮に逃亡したのなら、彼はまさに「地獄に落ちた」のだと述べています。

脱北した元北朝鮮外交官 テ・ヨンホ韓国国会議員
「私はこれを地獄への堕落と呼んでいます。彼が間もなく想像もつかないような地獄に直面するからです。彼らは死ぬまで、自由を抑圧された狭い場所で一生を過ごさなければなりません」

皆さんは、ある事件をまだ覚えているでしょうか。米ヴァージニア大学の3年生だったオットー・ワームビア氏が、2015年12月に団体ツアーで北朝鮮を訪問し、その際にホテルの政治宣伝ポスターなどを剥がそうとした容疑をかけられました。2016年1月、米国への帰国準備をしていた彼は、空港で北朝鮮警察に逮捕され、1年半後に北朝鮮当局によって釈放されたものの、すでに植物状態となり、帰国して数日後に他界しました。

分析によれば、トラビス・キングの軍での地位は低く、北朝鮮は彼から貴重な情報を得ることはできませんが、政治的プロパガンダには利用できるといいます。

マシュー・ミラー国務省報道官
「私たちはまだ事実(情報)を集めている最中であり、政府は彼の安全を確保し、家族のもとに帰すために積極的に取り組んでおり、これからもそうしていくことを明確にしたいと思います」

米国務省は19日、この件に関して軍が北朝鮮軍と連絡を取ったとし、国務省は韓国とスウェーデンとも連絡を取ったと発表しましたが、それ以上の詳細は明らかにしませんでした。

 
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