先月29日から今月2日にかけて、中国の北京、天津、河北などを含む京津冀地区で豪雨が発生し、北京とその周辺地域は過去11年で最大の大雨に見舞われました。華北平原西側の低めの山間部及び隣接する平原で大規模な洪水が発生し、非常に激しい勢いの洪水により、無数の人々や車、家屋が流されました。中国共産党(中共)の政治の中心である天安門広場も浸水し、一面、まるで海と化しました。1日までに、少なくとも20人が死亡、行方不明者はそれを大幅に上回るとされています。北京市では数万人が被災し、京津冀地区で数十万人が被災し、100万人以上が避難しているとの報告があります。しかし、本当の死傷者数は不明です。人々は死傷者の数に対して疑問を呈する一方で、北京市と雄安新区を守るために洪水を起こしたと人々は囁いており、それが大災害をもたらしたとして、当局に対する非難の声が上がっています。
砂と泥を含んだ激しい濁流が見られるこちらの場所は、黄河ではなく北京市内です。
台風5号トクスリが北上するなか、北京では多くの道路が水によって寸断され、郊外では土砂崩れや鉄砲水が発生し、多数の車が飲み込まれる凄惨な光景が広がっています。
7月30日午後5時32分頃、石景山区の京西大悦城ショッピングモール前で路面が陥没しました。
また7月31日には、北京市での最大累積雨量が690mmに達し、1963年8月の北京市での豪雨以来の大雨となりました。北京西部の多数の気象観測所が、異例の大雨によって電気通信や設備が故障し、サービスの停止を余儀なくされました。
600年間一度も浸水したことのない北京の紫禁城も例外ではなく、今回の大雨で一部浸水しました。
天安門広場も豪雨で川と化しました。映像によれば、北京市門頭溝区にある丁家灘村は村全体が流され、牌坊と言われる門だけが残り、村人の行方がわからなくなっています。
門頭溝区や昌平区などの地域では、一部の水が引いた後、泥水に浸かった大量の車が残骸として現れ、その光景は非常に衝撃的なものだったといいます。
門頭溝区で救助に参加したボランティアの中には、自分のいた救助チームだけで200体以上の遺体を発見したと明かす者もいました。しかし当局は、真相が明るみに出るのを防ぐため、通信を遮断しました。同地区の生存者が洪水を目の当たりにした恐怖を語りました。
北京市民の謝さん
「瞬間的に水量が増えて、川を越えて私の家の方まで水が押し寄せてきました。10分足らずで、水が1m以上の高さまできました」
北京市民の李さん
「本当に悲惨です。村が流され、多くの人が流されたことを思うと。私たちは幸いにも生き残ることができましたが、生きられなかった人々、その家族はどれほど辛く心が痛む思いをしたでしょう」
中共当局は、北京市を守るために、豪雨が降りしきるなか、放水していました。その結果、隣接する河北省や天津市で、深刻な洪水が発生することになったのです。
北京市から70km離れた河北省涿州市は、連日何度も洪水に見舞われ、水位が急上昇し、最も被害が大きい地域となっています。都市や村は水に浸かり、水と電気が遮断され、食糧やネットワークも遮断され、多くの人々が連絡がとれない状況となっており、少なくとも13万人が被災しています。
あるネットユーザーは、1日深夜、特別警察が涿洲の村民を逮捕し、強制的に洪水を起こすために堤防を掘り返させました。しかし外部には自然な堤防の決壊だと発表し投稿しました。
村人
「警察は辛荘の村民を弾圧して、堤防を決壊させようとしています」
警察
「撤退せよ!はやく!撤退しなければ連行するぞ!」
涿洲村の救助活動員A
「水深は7〜8m、8〜9m、一番深いところは12mにまで到達しています。次の救助を待つ人々のところに向かいます」
涿洲永楽村には当時5千人が閉じ込められていたといいます。
涿洲村の救助活動員B
「少しずつ外に救助していますが、水量がどんどん増し、1時から放水を始めました。今は救助が間に合わない状況です」
水位の上昇により、救助隊員は避難を余儀なくされました。
涿洲村の救助活動員C
「水位が急上昇していたため、上からは避難するよう言われましたが、私たちはその気になれませんでした。正直なところ、私は被災したすべての人々が助けを求めているのを見ました」
別の地域からの応援部隊も妨害に遭っています。被災地に入るためには「招待状」が必要で、被災地当局は公印が「流されて見つからない」と主張しているとのことです。
涿洲市は北京の下流に位置し、平均的な海抜は北京より低く、北拒馬河、小清河、白溝河はいずれも流量が比較的多く、北京の洪水や排水に欠かせないルートとなっていました。
ドイツ在住の水利専門家・王維洛氏
「だからこそ、この洪水防御の全体の設計は、人々の生活や安全を主としているのではなく、北京市や天津市、そして新しい雄安新区を含む中央政府のある主要都市を保護することが焦点であると言われています」
多くの人々の命が危険と隣り合わせになっているなか、中共機関紙の「人民日報」の3日付の一面は、洪水関連のニュースではありませんでした。
その他の洪水関連の記事や報道も、ほとんどが政府の災害救援活動に関するもので、中には見せかけの捏造さえあったということです。
3日、河北省当局は、今後さらに3億から4億立方メートルの水が涿洲市を通過する予定だとし、洪水は1か月続く見込みだとする見解を発表しました。