中共 若年層の失業率の公表を停止

中国では、経済が低迷するなか、若年層の失業率が上昇し続け、社会的な不安と懸念を呼んでいます。15日、中国共産党(中共)国家統計局は、若年層の失業率の新たなデータの公表を一時停止すると発表しました。

国家統計局の付凌暉報道官は、国務院新聞弁公室の15日の記者会見で、8月から全国の若年層などの年齢別失業率の発表を中断すると発表しました。

都市部での失業率の統計は、2018年からの4年間で倍増しています。特に今年に入ってからは、1月の17.3%から6月の21.3%まで月ごとに上昇しています。なお、多くの経済学者は7月はさらに高い数字になると予想しています。

中共統計局が失業率の公表を停止するというニュースは、さまざまなSNS上で嘲笑の声が数多く上がっています。

あるユーザーは、「目を閉じれば、何も存在していないも同然だ」と言い、またあるユーザーは「発表しなければ、失業率がないに等しいので、問題は根本的に解決される」などと嘲笑っています。

米国在住の経済学者・黄大衛氏は、中共がデータの公表を中止したのは、公表をすることで、市場に悪影響を及ぼし、さらなるパニックを引き起こす可能性があることを恐れたからだろうと語っています。

また、時事評論家の王赫氏は、「中共の調査は国際的な慣行とかけ離れており、データの真実性や正確性には疑問があるものの、中国の若者の失業問題が非常に深刻であることを示している」と述べました。今回、中共が公表停止を発表したのは、若者が抗議することを恐れ、社会的な安定維持を最優先に考えた結果だとしています。

中央銀行、予告なしに利下げ 人民元は新安値を更新

また同日、中共当局が最新の経済データを発表し、先月の経済成長率はさらに鈍化し、中国の経済成長が直面するプレッシャーが強まっていることを示しました。

中共統計局のデータによると、中国の7月の工業付加価値成長率は前年同月比3.7%増と、6月の4.4%を下回りました。さらにロイター社のアナリストの予想4.4%増も下回る結果となりました。消費財の小売総売上高もわずか2.5%増で、6月の3.1%から減少し、アナリストの予想の4.5%増にも届きませんでした。

これらの経済データの発表に先立ち、中央銀行は2つの主要貸出金利を引き下げました。1年物中期貸出金利(MLF)を15ベーシスポイント引き下げて2.5%に、7日物リバースレポ金利を10ベーシスポイント引き下げて1.8%としました。

中央銀行の利下げと低調な経済データの発表の直後、人民元為替レートは急落し、オフショア人民元は今年の最安値となる1米ドル=7.31元を割り込みました。

 
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