iPhone15が発表され、同時にインドでの生産が開始されました。
先日、アップル社よりiPhone15の発売が発表され、日本ではすでに予約の受付が開始され、22日より発売が始まります。これまで、製品のほとんどを中国で製造してきたアップルですが、今回のiPhone15よりインドでの量産を開始したと報じられました。インド製のiPhoneは南アジアをはじめ、多くの国で発売される予定です。世界の製造業のサプライチェーンにおけるインドの地位は着実に高まっており、中国の製造大手との差が縮まっています。
iPhone14以前は、アップルはインドでほんの一部の製品しか製造しておらず、生産能力やスピードの面で中国に6〜9か月ほどの遅れをとっていました。しかし昨年、その差は数週間にまで縮まりました。アップル社はインドにおけるiPhone製造のシェアを徐々に高め、今年3月末までにその割合は7%にまで上昇しました。世界のサプライチェーンが「脱中国依存」を進めるなか、インドがその恩恵を享受しています。
iPhone15はアップルにとってここ3年で最大のアップグレードであり、性能やカメラシステムが大きく進化し、特に搭載されている3nmチップにより性能が大幅に強化されたということです。アップルの売上は、主に米国、中国、欧州での需要の低迷により、3四半期連続で減少しています。iPhone15はアップルの業績を押し上げるために非常に重要です。ブルームバーグによると、台湾大手の電子機器受託製造ペガトロンやウィストロンをはじめ、インドの他のアップル・サプライヤーも間もなくiPhone 15の組み立てを開始するといいます。
今年、アップルはインドで1号店となる直営ショップをオープンし、インド市場はますます重要になってきています。インドは生産拠点であるだけでなく、重要な市場でもあります。アップルの経営陣は、今年の第2四半期のインドのiPhone販売台数の伸び率が2桁であることを明らかにしました。インドが中国と同時にiPhone15を生産することについて、中国国内ではどのような見方があるのでしょうか。
中国メディアが米国メディアの報道を引用し報じたところによると、インドでの今後のiPhone15の生産規模は部品の供給次第であり、その大部分は輸入をする必要があるということです。なお、その輸出元は中国です。
インドのiPhoneの生産は、受託製造するフォックスコン社の生産ラインに依存しており、現在、いくつかの制限に直面しているといいます。中国メディアはまた、インドメディアの発言を引用し、サプライチェーンにおける中国の優位性について、インドが完全な製品を生産するために、中国から大量の主要原材料や部品を大量に輸入しなければならず、それが最終的にインドと中国の貿易黒字の拡大につながると報じています。また、フォックスコンの幹部は、インドは中国のようなテクノロジー製品の世界的な製造拠点にはなれないと述べています。
海外メディアも、インドがiPhone15の製造を始めているものの、中国の製造業における地位を揺るがすのは難しいと指摘しています。しかし、中国国内メディアの報道や発言とは裏腹に、多くの中国人は以前のように、インドを下に見て、嘲笑うことができなくなっているのではないでしょうか。多くの若い共産党主義者「小粉紅」はインドを嘲笑い、高をくくっていますが、雲行きが怪しくなっているのも感じているでしょう。危機はどこからやってくるのでしょうか。今のインドは「天の時、地の利、人の和」 すべてにおいて揃っていることを理解しています。
中国の製造業がここまで成長し、世界規模の工場になることができたのは、人件費が安く、環境を無視したことだけが要因ではありません。中国の製造業にとっての良い環境条件、完全なるサプライチェーンがあったからです。アップル社のサプライチェーンは大部分が中国にあり、必要な部品はすぐ近所で調達でき、iPhoneを組み立てるのは便利で手間もかかりませんでした。しかし、今やアップルは中国国内で解決できることでも、部品を中国から調達して、わざわざ組み立てや生産を遠いインドで行っているのです。この背景には、アップル社の巧妙な「脱中国依存」があります。中国のサプライチェーンを核心に据えながらも、その主軸となる重心は徐々にインドへ移っています。
昨年、アップルが生産を徐々にインドに移行した際、中国のフォックスコンおよび14社のメーカーをインドに引き込みました。生産の重心がインドに移ると、アップルを取り巻く多くの中国の部品メーカー、材料メーカー、サプライチェーンを構成しているメーカーは、アップルに追随してインド市場を開拓することになります。製造ラインを徐々にインドに移すことにより、アップルがインドでの部品生産と技術のサプライチェーンを強化する助けとなります。
これは何を意味するかというと、中国国内の部品サプライチェーンから次第に人材が流れ、規模が縮小していくことになります。国内のサプライチェーンは徐々に産業の空洞化が起こり、一方でインドが成長を続けていくでしょう。そうなれば中国のサプライチェーンは優位性を保てなくなり、製造業は次第に衰退していきます。