中国共産党当局は現在、新エネルギー車を全面的に推進していますが、最近多くの地域で発見されている大規模な「EV(電気自動車)墓場」が、習近平政権下で頓挫したプロジェクトのひとつと見られています。
記者
「全部で何台あるのですか」
電気自動車墓場・管理人
「数千台はありますね」
記者
「これらはまだ使用できますか」
管理人
「いくつかはすでに廃車ですが、まだ使えるものもあります」
記者
「これはレンタルできるのですか」
管理人
「これはただ古くなっただけです」
管理人
「長い間ここに置いてあります。一年以上です」
記者
「一年以上置いてあった車が路上に出ても大丈夫でしょうか。バッテリーの性能とか」
管理人
「バッテリーの性能は問題ありませんが、ここに長い間置いてあったので、日に当たり雨に晒されて、いくつかの部品に多少の問題がある可能性もあります」
重慶市郊外の住民
「もったいないですね。この何百何千台の新エネルギー車も、あと数年ここに置くと廃車になるでしょう」
数百や数千台規模の電気自動車が、高層ビルに囲まれた空き地に積み上げられ、また荒野に捨てられているという、驚くべき光景が広がっています。現在、中国のあちこちに出現し、話題となっている「EV墓場」です。
2008年、中共はテスラに倣って新エネルギー車の開発に乗り出しました。習近平氏がトップに就任すると、さまざまな補助金政策が導入され、多くの自動車会社が名乗りをあげました。 わずか数年で、中国には400社以上の電気自動車企業が誕生しましたが、結局は中国経済を押し上げるまでには至りませんでした。
中国問題専門家・王赫氏
「たしかに中国の電気自動車の発展は速かったですが、中国経済の回復と成長の核を担うまでには至りませんでした」
それどころか、企業の技術面での不正を後押しすることになっています。車両の虚偽申告やナンバーはあるものの車はない、重要パラメータの虚偽申告、ラベルとの矛盾、バッテリーの買い戻しの際の共謀による補助金騙し取りなど、多くが挙げられます。
2016年、中共財政部が自動車企業93社を調査したところ、72社もの企業が補助金を不正受給していたことが判明しました。それ以降、中共は補助金の基準を引き上げ、補助金額を年々減らす措置をとってきました。
2019年以降、多くのEV企業が倒産や経営危機に陥り、現在中国で生き残っているEV企業は数十社しかありません。
王赫氏
「中国では、電気自動車には多くの問題があると言われており、また実際に多くの問題が明るみに出ています」
習氏が政権に就いてからの10年間で、「一帯一路」から「千年の大計雄安新区」まで、また「10兆チッププロジェクト」から「新エネルギー電気自動車」まで、基本的にすべてが中途半端で雑多なプロジェクトとなり、習近平氏は「常に計画が頓挫し未完成」という意味の「総爛尾師」と呼ばれています。分析によれば、中国経済の苦境は習氏の「思いつきで国を治める」統治手法に大きく関係しているといいます。
時事評論家・李林一氏
「ある部分においては、もちろん彼の統治手法やその他中共の体制にも関係していると言えます」
先週4日、EUは、中国から輸入される電気自動車に対する反補助金調査を正式に開始すると発表しました。
王赫氏
「この問題はEUと中共の間の長年の問題となっています。EUが中共の市場経済の地位を認めないのも、中共が大量の補助金を用いて、市場を歪めたからだとしています」
李林一氏
「特に、EUは中国の安価な新エネルギー車に制裁を加える予定で、これは中国経済にある程度の影響を与えることでしょう」
王赫氏
「もし中共が譲歩せず、EUの電気自動車(EV)市場への門戸が閉ざさることになれば、中国のEV産業全体に大きな影響を与えることになりかねません」
そうなれば今後中国では、ますます「EV墓場」が増えることになるかもしれません。