中国共産党(中共)の禁止令に対し、対抗し協力することとして、米政府は初めて在日米軍向けに日本の水産物を大量に購入しました。中共は極度の不満を表明し、駐日米国大使を非難しましたが、かえって鋭い批判を受けました。
ラーム・エマニュエル駐日米国大使は10月30日、ロイター通信のインタビューで、米軍から日本への最初の発注は1トン近いホタテで、駐日米軍基地と海上の米海軍艦隊の要員に供給されると述べました。これは中共に対する「経済戦争」の一環であり、日本がこの経済戦争に応じる際、米国はどのように協力すべきかを深く研究しなければならないとしています。
かつて中国は、日本の水産物の最大の市場であり輸入国でした。しかし、今年8月末に日本政府がトリチウムを含む福島原発の処理水を海に放出した後、中共は即座に日本産水産物の輸入「全面停止」を命じました。
国連の原子力監視機関である国際原子力機関(IAEA)が、福島原発から海に放出された原子力処理水は安全であると保証しているにもかかわらず、中共は禁止を堅持しています。
主要7カ国(G7)は10月29日、中共に対し、日本産食品の輸入禁止措置を直ちに解除するよう求める声明を発表し、経済的強制と貿易の武器化を非難しました。
一方、米国は積極的なアプローチをとって日本を援助しています。
エマニュエル大使は、米軍は日本の漁師や販売協同組合と長期契約を結ぶと述べています。将来的には、米軍は徐々に他の種類の水産物にも購入を拡大していくでしょう。
台湾の両岸政策協会の研究者である呉瑟致氏は、これは中共が長年にわたって貿易を武器化した結果であり、民主同盟諸国が互いに援助し合うようになったのだと述べました。
台湾の海峡両岸政策協会の研究者・呉瑟致氏
「中国は近年、リトアニアだけでなく、チェコやその他の国も含めてこのようなことを行っていますが、台湾もまた、長年、一部の農水産物の禁輸措置や、中国市場への参入禁止措置などの中国による経済制裁に直面しています。そして今年の4月と8月、さらには10月にも中国によるいわゆる貿易関連調査が行われ、現在も進行中です。圧力の目的はもちろん、台湾総統選挙や台湾の政治発展に影響を与えることです」
在米国在住の時事評論家である藍述氏によれば、米国のアプローチによって、日本社会は誰が本当の敵で誰が味方なのかを認識できるようになるといいます。これは非常に重要なことです。というのも、米国の対中政策が180度調整されたのはトランプ氏が大統領に就任してからであり、日本、韓国、台湾、そして多くの欧州諸国の対中政策は、中共が政界から市民社会まで非常に深刻に浸透しているため、いまだに変革の過程で苦闘しているのです。
藍述氏
「米国の援助によって、これらの国々は、中共が欧米諸国の生活とその将来の世代にもたらす長期的な脅威をはっきりと認識し、中共の強権的な経済拡大が、国際社会全体の経済秩序を崩壊させるという点で、どのような意味を持つのかをはっきりと理解できるようになるでしょう。また、仮に経済拡大が失敗したとしても、中共の次の手を予測できるでしょう。したがって、こうしたことを行うことで、米国は実際に、より多くの西側の同盟国、政府だけでなく、市民社会、経済界、学界なども味方につけることができ、中共の素性をさらに認識させ、その後のこれらの国の対中政策の転換に道を開くことができるのです」
人々は、エマニュエル大使が中共に対してタカ派すぎるのではないかと心配しています。エマニュエル大使は、「自分は真実を語っているだけです。正直であることは難しいかもしれませんが、それが最善の策なのです」と述べました。彼は、中共の国際社会との対立が国内経済に打撃を与え、中国の若者の3分の1近くが失業していると考えています。
呉瑟致氏は、中共が今後何度も経済的強制手段をとるようであれば、世界の経済貿易システムから切り離さざるを得なくなることが懸念されると述べています。現在、米国が日本に対して中共への対処を支援しているという事実は、2つの大きな意味を持ちます。
呉瑟致氏
「まず、世界経済と貿易の発展を安定させること。そして、中国が貿易を武器化し続ければ、最終的にはそれによって圧迫されている国々ではなく、むしろ中国経済に害を及ぼしかねないことを警告すべきです。結局のところ、改革開放以降の中国の経済・貿易の発展は、世界各国との経済・貿易関係の確立と向上からもたらされたものです」
これに対し、中共は公然と不満を表明し、エマニュエル大使が「騒ぎを引き起こしている」と非難しました。
エマニュエル大使はソーシャルメディア「X」で反撃に出て、中共による隣人に対する一連の行為を列挙して、「『騒ぎを引き起こしている』ことに関しては、中共が一番、自分たちが何を言っているかについてよく知っているでしょう」と投稿しています。