12月5日、米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、中国の格付け見通しを「安定的」から信用度が下がる可能性がある「ネガティブ」に変更したと発表しました。これを受けて中国株式市場で再び上海総合指数は3000ポイントを割り込みました。
中国経済が低迷するなか、不動産市場が崩壊し、地方債務の危機も深刻化しています。中国共産党(中共)当局は一連の財政刺激策を打ち出しましたが、その結果は芳しくないようです。ここ数日、官製メディアはスローガンを繰り返し、中共党首の上海訪問を宣伝し、国内外に自信を持たせようとしていますが、国際格付け会社ムーディーズに打ち砕かれました。
12月5日、ムーディーズは中共の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に格下げしました。ムーディーズは声明で、中共の地方政府と国有企業が多額の負債を抱えていることを示す証拠が増えており、国の財政、経済、制度的な強さに幅広いリスクをもたらしていると指摘しました。
サウスカロライナ大学エイケン校・謝田教授
「中国全体の金融および中国の投資環境には非常に大きな影響をもたらすでしょう。今回の格付けは単にその信用スコアをネガティブに評価しているだけでなく、実際には中国の経済成長速度も中共が言っているほど高くないと指摘しており、今後は降下、低下する可能性があります。これは中国全体の金融および中国に対する外国企業の見解にも変化をもたらすでしょう」
ムーディーズは、中共の体制と中国の経済状況に下方リスクがあり、不動産市場の持続的縮小のリスクが高まると見ており、中国の格付けをA1と評価しています。
謝田教授
「これは3大格付け会社の中でも非常に重要な会社ですので、中共政府が地方政府の財政問題を効果的に解決するのは非常に困難です。実際にお金を増刷するだけでも大きな問題を引き起こすと考えています。また、中国の一部の企業や民間部門は負債を抱えており、現在、企業部門、特に不動産業界の対外債務も非常に深刻なものです」
ムーディーズが中国の信用格付けを再度引き下げたというニュースを受けて、中国株式市場の主要A株の3つの指数はすべて下落、香港株も引き続き下げ幅を拡大しました。
元北京建設銀行法務部長・梁少華弁護士
「国内外の市場は中国経済の先行きを楽観視していません。そのため、株式市場はゆっくりと徐々に下落し、節目の3000ポイントを下回りました。これは経済全体に対する拒否反応であり、習近平の政策に対する打撃でもあります」
ロイター通信によると、ムーディーズの格下げ声明発表後、中共の大手国有銀行は人民元(RMB)外国為替市場の安定を守り、大幅な人民元安を回避するために終日奔走したといいます。
台湾を拠点とする金融専門家の黄世聡氏は、このニュースは中共全体の投資と資本の流れに大きな影響を与えると見ています。
台湾の金融専門家・黄世聡氏
「格付けが良くないと、国債の金利が高くなり、国債の発行に影響が出る可能性も考えられます。もうひとつは、金融であれ何であれ、国家安全保障や経済発展など、国家の主権に関連する重要産業が影響を受けるということです。外国資本も、結局のところ、格付けの良い国に投資したいと思うでしょうから、中国への投資を控えるでしょう」
ムーディーズの格下げ声明は国際社会を驚かせたため、中共はそれに応えなければなりません。
同日、中共財政部はムーディーズの決定に失望を表明し、中国経済はまだ安定した改善局面にあり、不動産セクターと地方政府の債務は「コントロール下にある」と主張しています。また、中国の成長見通しに関するムーディーズの懸念は必要ないとしていますが、外部は中共の主張に疑問を呈しています。
黄世聡氏
「本来、国の格付けは非常に重要な要素です。世界第2位の経済大国と主張し『経済を発展させたい、世界で重要な役割を果たしたい』と言い続けている国が、この時点で格下げされました。明らかに国際的な舞台では、投資機関や信用機関はそのように見ていないのです」
中共の官製メディアも慌てて訂正記事を出し、状況を説明しようとしましたが、結果的には事態をさらに悪化させてしまいました
謝田教授
「格付けの見通しが下方修正されれば、中国の将来性に期待が持てなくなり、国際資本の中国からの撤退が加速し、対中投資が激減することになります。これは中国経済にとって大きな打撃となり、大きなマイナスな影響をもたらすでしょう」
台湾の経済学者・呉嘉隆氏
「資本流出の背後には信頼の危機があり、信頼の危機の背後には、習近平の経済統治能力に対する高い懐疑心と自信のなさがあります」
ムーディーズが最後に中国の格付けを引き下げたのは2017年で、Aa3からA1に引き下げました。これは同社が1989年以来25年間で初めて中国債務の投資格付けを引き下げたものでした。