中国経済の先行きは暗く、不動産市場は低迷しています。北京で売りに出されている中古住宅は17万戸に達し、不動産価格は暴落しており、総額数百万元の住宅が、100万元(約2千万円)値下げしてもなかなか売れません。北京の住宅価格は今後も下がり続けると専門家は見ています。
北京在住の動画配信者「我就是內誰」さん
「北京の住宅の90%以上が下落しています」
北京在住の動画配信者「小琦説房」さん
「北京の不動産市場がどうなっているのか皆さんは知っていますか?」
最近、多くの中国の動画配信者が、北京の中古住宅の価格が暴落していると明かし、数百万元値下げしても、なかなか買い手がつかないといいます。
動画配信者「小琦説房」さんによると、彼のファンの1人が8月中旬に自宅を約950万元(約1億9千万円)で売りに出し、最近になって830万元(約1億6700万円)に値下げしましたが、いまだに売れないといいます。
また、近所の家が3年前から売りに出されたまま、いまだに買い手がつかないという人もいます。
元中国資産運用会社のコンプライアンス責任者である梁少華氏は、不動産価格が下落しているにもかかわらず、物件が売れ残っている理由はたくさんあると考えています。
梁少華氏
「その主な理由は人口の減少です。人口ボーナスに支えられた中国の経済発展の段階は終わったと言えます。住宅価格を支える要因の一つは人口増加であり、もう一つは都市化です。都市化は基本的に終焉を迎えているので、いわゆる住宅価格上昇の基本要因はもはや存在しません。北京の住宅価格の下落は今や非常に象徴的なもので、全国の住宅市場に非常に大きな打撃を与えています」
不動産会社「貝殼找房」の統計によると、10月下旬、北京で売りに出されている中古住宅の数は約14万4千戸に上り、総額5千万元(約10億万円)以上の高級住宅も多数含まれ、中には700万元(約1億4千万円)の値下げをしても売れなかった物件もあるといいます。
中国のメディアは、11月上旬までに北京の中古住宅の掲載件数が17万戸に達すると報じました。
北京市朝陽区の不動産業者は12月5日、「掲載件数は過去最高だ」と述べています。 今、北京の不動産市場では、買い手は絶対的な発言権を持っており、出だしから100万元(約2千万円)の値下げを要求し、それから、話し合いを始めるといいます。北京の中古住宅の契約価格は、基本的に掲載価格より100万元、200万元低いことがもはや標準となっています。
金融専門家、アナリスト・施進氏
「今、経済は低迷し、外資は逃げ出し、企業は閉鎖し、失業率は非常に高く、人々の生活は非常に苦しいものとなっています。不動産価格の下落傾向は、1、2年前から続いていますが、当時では、まだ中小の都市に限定されていました。しかし今、中国の不動産市場全体が下落し始めています。下落が一旦加速し始めると、売り手は物件を手元に残さないよう価格を下げるでしょう。このような状況下で買い手もまた、良い物件をより安く買いたいと考えるのです」
梁少華氏によると、不動産価格の下落は株の下落のようなもので、下落すればするほど売りたい人が増えるといいます。
梁少華氏
「もうひとつの理由は、経済状況が良くないことで、住宅を緊急に必要としているにもかかわらず、購入する余裕がない人々が大勢いることです。今は値下がりしているとはいえ、まだまだ価格は高く、若い人たちや一般の家庭にとっては負担できる価格ではないのです。いずれにせよ、マクロ経済全体が低迷しており、誰も儲かっていないのですから、誰も住宅の購入を急がないのです」
分析によれば、需要と供給のバランスが取れるまで、不動産価格の下落は長く続くといいます。
梁少華氏
「また、北京では購入制限政策が非常に厳しいという特殊な状況もあります。北京市内やその周辺では、地元の人々しか購入できません。市外の人が購入するには、例えば、5年間の社会保険の支払いや、居住許可証が必要であるなど、一般の人にとっては、比較的難しいのです。不動産価格の下落が続く中、北京政府が不動産市場を活性化させるために、さらに住宅購入の制限を緩和する可能性もあります」
ある若い夫婦が、3年前に北京で住宅を購入したときの心境を投稿しました。
北京市在住の「可媽」さん
「家を買ってからというもの、私の精神状態は悪化の一途をたどっています。3年目には死にそうになりました。毎月多額のローンの返済に追われています。住宅の購入は本当にお勧めしません。本当に血と涙の教訓です」