サイバーセキュリティに対する懸念から、英国の送電事業大手のナショナル・グリッドは送電網システムにおいて、中国企業から供給された部品の撤去を開始することを決定しました。評論家たちは、これは中国共産党(中共)の脅威に対する英国の認識が高まっていることの表れだと見ています。
12月17日、英国の「フィナンシャル・タイムズ」紙は2人の情報筋の話を引用し、英ナショナル・グリッド社が、中国国営の南瑞科技の英国サプライヤーであるNRエレクトリックUK社との契約を打ち切り、同社から供給された機器部品を撤去することを決定したと、報じました。現在のところ、関連部品の撤去が完了したかどうかはまだ定かではありません。
南瑞科技の英国の子会社であるNRエレクトリックUKの従業員は、同社がナショナル・グリッドから除外されたことを認めています。
大紀元コメンテーター・王赫氏
「中共のサイバー攻撃やこうしたインフラ攻撃は、ここ数年、欧米諸国にとって大きな懸念となっており、英国は今、こうした対処行動に出ています。これは、英国が中共の脅威に対する認識を深めたとみなすことができます」
別の情報筋によれば、ナショナル・グリッドが撤去した部品は、送電網の制御とバランスを担っており、主に停電のリスクを最小限に抑える役割を担っているといいます。
在米時事評論家・唐靖遠氏
「それは主に送電網全体の安定性をコントロールし、停電のリスクを軽減するものですが、その一方で、このような部品が中共の手に渡れば、必要なときにバックドアから指令を送ることができ、送電網全体の停電を引き起こす可能性があります。つまり、一種の超限戦方式の攻撃を形成することができ、英国にとっては安全保障上の大きなリスクとなるでしょう」
情報筋によれば、ナショナル・グリッドが英政府通信本部(GCHQ)の一部であるナショナル・サイバー・セキュリティ・センターに助言を求めた後、今年4月にこの決定が下されたといいます。
唐靖遠氏
「つまり、ナショナル・グリッドは、情報機関を通じて、中国企業から供給された部品には非常に高いセキュリティ・リスクがあると考える十分な理由があった上で、このような決定を下したのです」
ナショナル・グリッドは、「契約上の守秘義務」を理由にこの件に関するコメントを避けましたが、「我々はインフラのセキュリティを非常に深刻に受け止めており、従業員や重要な資産を保護するための効果的な管理体制を敷いて、確実かつ安全に送電を続けられるようにしていく」と強調しました。
唐靖遠氏
「英国は、中共の国有企業やそれと密接している個人企業は信用できないという非常に明確なシグナルや警告を発していると思います。これらの企業は、中共が他国に潜入し、妨害工作を行うための道具になるかもしれません」
報告書によると、南瑞科技は、送電網の運用効率向上に貢献する大手部品サプライヤーで、中共の国家電網公司(SGC)傘下の南瑞グループが51.48%を所有しています。
近年、欧米諸国が中共による国家の重要インフラへの浸透を深刻に受け止め始めたため、ナショナル・グリッドは中国企業との間に一線を引くことにしています。
王赫氏
「このような行動により、英国は、疑わしい、危険である、潜在的に危険であると考える設備や施設を撤去したり、中共の参加を拒否したりすることで、デジタル経済やデジタル社会の面で中共と距離を置くことになっています。これは、中国のデジタル経済、デジタル産業、そしてその国際的な展開に大きな打撃を与えるでしょう」
昨年7月、英国は「国家安全保障」の懸念を理由に、中国企業が英国から視覚センシング技術に関する知的財産を取得することを禁止し、2020年7月には、英国はファーウェイの設備が5Gネットワークにアクセスすることを禁止しました。
王赫氏
「英国だけでなく、米国もそうであり、欧米全体がこの点で統一戦線を構築しているのです。中共による欧米のイデオロギーに対する対立や組織的挑戦のため、西側は今や中共に反撃せざるを得なくなっています」
米国在住の時事評論家の唐靖遠氏は、より多くの国々に対し、主要産業や施設の「脱共産主義化」にもっと力を入れるよう呼びかけています。