ある英国人実業家が2018年から、中国共産党（中共）政権によって秘密裏に拘束されており、その状況は最近まで公にされていませんでした。外部では、中共は社会を厳しく管理し、「国家の安全」を口実に中国人や外国人を恣意的に逮捕していると見られてます。そのため、外国資本は急速に離れ、中共はますます孤立しています。
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は1月25日、英国出身の実業家イアン・ストーンズ氏が2018年に中共政府によって秘かに拘束され、公の場から姿を消していたことを明らかにしました。しかし英国政府と中国政府、両方から公式発表はありません。
今年で約70歳のストーンズ氏は、かつては英国石油、ゼネラルモーターズ、ファイザー製薬などの大手多国籍企業で長期間勤務していました。彼は15年前に北京で投資管理コンサルティング会社を設立し、中国のビジネス界ではよく知られています。
ストーンズ氏の娘ローラさんによれば、ストーンズ氏は英国大使館員や家族の出席が許されない非公開の裁判を経験したといいます。彼らは一度だけ公聴会に出席することが許され、その後、事件に関連する法的文書を確認することも禁止されました。
中国政法大学の国際法修士号を持つ頼建平氏
「中共がそれに対して秘密の陰謀、政治的な審判、秘密の裁判を行ったのです。このことが明るみに出るまでにこれほど時間がかかったということは、中国が恣意的に当事者に濡れ衣を着せ、中国人または外国人を任意にでっち上げることができる非常に不気味で、危険な場所であるとしか言いようがありません」
ストーンズ氏と45年来の親交がある中国問題専門家のピーター・ハンフリー氏も、かつて中共政府によって拘束されたことがあります。ハンフリー氏は米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ」（VOA）に対し、ストーンズ氏が中共当局を怒らせた可能性が高いと述べています。ストーンズ氏が3年前に逮捕される前、中共の機関に監視され、「呼び出された」ことがあったといいます。
ローラさんによると、ストーンズ氏が拘束されている間、最長6か月も面会を許可されず、何の連絡もなかったといいます。彼女は、父親が拘束されてから、重篤で命にかかわる健康問題が生じているのに、適切なケアを受けていないと語り、父親が無事に帰宅できることを望んでいます。
頼建平氏
「彼らは当事者の弁護権を保障せず、家族に必要な面会の権利も与えず、裁判や取り調べの過程で拷問的な手法を取って自白を強要しています。彼ら（中共）は多くのケースで完全に法律や基本的人権を無視し、時には人道的な最低ラインをも超えます」
2023年7月、中共は新たに改正された「反スパイ法」を施行し、社会の統制をさらに強化しました。警察は複数の外国企業の中国支社を捜査し、一部の外国の経営幹部の出国を禁止し、中国に滞在している外国人はますます大きなリスクに直面しています。
外界は、ストーンズ氏のことから、中国に秘密裏に拘束されている外国人が多くいる可能性があると懸念しています。
北京首都師範大学の李元華副教授
「中共による迫害はしばしば秘密裏に行われます。それは人目につかないようにされているため、基本的に公開されることはありません。英国人実業家のような状況は中国では単一のケースではなく、他にも同様の状況の人がいるかもしれません。ただ外部に知られていないだけです。中共は一貫して、いわゆる『国家安全保障』の名のもとに、国民だけでなく外国人に対しても迫害を行っているのです」
李元華氏によれば、中共による外国人の拘束と捏造は、主に様々な政治的な目的から生じており、それには政治的な立場への不信感、政治的な駆け引きと外交交渉、人質外交の実施、商業機密の窃取、他国に対する不満の表明などが含まれます。
近年、中共の「悪の枢軸」としての役割が国際的に明らかになり、欧米諸国との関係が全般的に悪化しています。一方で中共当局は国民を騙し、経済の「内循環」を奨励しています。また絶対的な社会統制のために「全国的なスパイ狩り」を展開し、外資の急速な撤退を引き起こしています。同時に、中国経済が大きく滑り落ちる中、外部に対しては積極的な姿勢を示し、外資を引き寄せ、経済を救おうとしています。
李元華氏
「今、中国は世界をだますことで、世界が中国に投資してくることを期待しています。しかし、この種のだましに対して国際社会はすでに慣れており、誰も来ないでしょう。最近の中国の株式市場の下落は、すべての投資家が中共の経済に期待しておらず、自らの資金を引き揚げようとしていることを示している」
報道によれば、ストーンズ氏は中共当局によって「海外への情報販売」を理由に懲役5年の判決を言い渡されました。彼は無罪を主張し控訴しましたが、昨年9月に却下されました。現在、ストーンズ氏は北京第二刑務所に拘留されており、そこには多くの外国人が収容されています。
