中国で年金基金の9割が損失 7本が清算

中国の株式市場の不況続きにより、年金基金にも被害を及ぼしています。最新のデータによると、2023年に設立された中国の養老目標基金(基金版の個人年金)の90%が赤字であり、7つの基金が清算されたようです。

「データプロバイダーWind」の最新データによると、現在、中国には462の養老目標FOF基金があります。そのうち、2023年以前に設立された345本の基金のうち、35本がプラス・リターンで10.14%を占めています。過去1年間のリターンが1%を超えたものは11本、10%未満は34本ありました。また、7本の基金が清算されました。

なぜ本来安定的に増価できるはずの養老目標基金が大幅な赤字に陥ったのでしょうか?

大紀元のコラムニスト王赫氏
「主な原因は中国の株式市場の暴落に対する認識不足です。これらの目標基金は株式投資を中心に資産が配分されており、特に長期、3年または5年以上の場合、株式ファンドの80%まで配分することができます」

2018年、中国の株式市場は大幅に下落し、当時、中国共産党(中共)は14の基金会社の養老目標基金の上場を承認しました。2019年から2021年まで、養老目標基金は3年連続で上昇しました。

王赫氏
「この時、彼らは株式市場の虚偽の上昇に騙され、多額の株式投資を行いました。その結果、2022年から中国の株式は急速に下落し始め、現在までに、A株と香港株の時価総額は7兆米ドルも蒸発しました。この状況下では、彼らが保有する株式が多ければ多いほど、保有期間が長ければ長いほど、損失が大きくなります。これが9割以上の中国の目標基金が損失を被った原因です」

中共の財経メディアによると、養老目標基金は2022年初めから大きな逆風に見舞われ、2023年に状況がさらに悪化しました。

王赫氏
「彼らは中国の株式市場のリスクを認識していません。2022年以降の株価の急落は一過性の問題ではなく、トレンドの問題なのです。彼らは資産配分を適切に調整せず、株式以外の資産、例えば債券など、適切に配分していませんでした。そのため、運用戦略において、彼らはいくつかの間違いを犯しました」

大紀元のコラムニスト王赫氏は、この間違いの背後に、中共が株式市場で「ニラ刈り」を行っており、個人投資家たちを限界まで刈り取ったと述べています。

王赫氏
「株式市場は大きな罠であり、結果として、彼ら自身も騙されてしまいました。業界の一員である彼らは、中国の株式市場のリスクが非常に多いことを非常によく知っています。株式市場はギャンブルであり、政府が仕掛けた罠なのです。それでも彼らは喜んで政府を信じ、自ら罠に飛び込み、その結果、自らを犠牲にしてしまいました」

中国の株式市場が急落し、個人投資家が損失を被るなか、自殺事件が多発しています。最新の事例では、上海の有名な投資ファンドマネージャーで、「プライベート・エクイティの神」と呼ばれていた曹欣氏が、株式市場の持続的な下落により、融資の返済ができなくなり、飛び降り自殺しました。

王赫氏
「中共の体制の下では、資金配分に携わる人など体制内の人間であっても、多くの人が中共に騙され、中共に忠実に従った結果、大きな落とし穴に落ちてしまいました」

2015年、中国株式市場の急落の際、中共国務院は行政措置を発表し、年金基金が株式市場に投資することを許可しました。中共の専門家はこれが投資家の信頼を高め、市場を安定させるのに役立つと主張していました。

元中国資産運用会社の最高コンプライアンス責任者・梁少華弁護士
「中国の年金基金の株式への投資は、リスクが非常に高いことは周知の事実であるため、ごく一部にとどめるべきです。株価が上昇している時に、株式資産への投資比率を適切に引き上げれば、年金基金のリターンを高めることができます」

しかし、年金基金の投資は、債券など固定的な収益のような低リスクの資産の傾向にあるため、慎重に行わなければなりません。

梁少華弁護士
「国はこの点を考慮していません。年金投資機関や全国社会保障基金は独立した組織ではなく、依然として中共直属の事業体であり、その会長も中共によって任命され、その指示に従わなければなりません。これらの年金基金は救済資金として市場に投入されており、株式市場が下落すれば、必ず巨額の損失を被ることになるでしょう」

王赫氏によると、中共は米国のように年金基金を長期基金として活用しようとしていますが、米国と中国の制度は異なり、株式市場の構造も異なります。中国の株式市場は中共が仕掛けた罠であり、他人を引きずり込んだだけでなく、自らも罠に陥ってしまいました。

 
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