中国共産党(中共)は「国家秘密保護法」を改正しました。監視範囲を「国家機密」から「業務機密」まで拡大しただけでなく、機密に携わる人の離職後の雇用や出国も厳しく管理しています。評論家は、新たな「国家秘密保護法」は厳格でありながらも曖昧であるといいます。また、中国でのビジネスリスクに対する外国企業の懸念を悪化させるだけでなく、国家安全保障の名の下で、中共の独裁的な権力を再び強化するものだと指摘しています。
中国の「国家秘密保護法」改正による統制範囲はさらに拡大されました。2月27日、中共全国人民代表大会常務委員会は改正案を可決し、党首によって第20号主席令として署名され、5月1日からの施行が決定されました。
この法律は、離職した機密関係者に対して「機密解除の期間」の管理をし、特定の業務機密に対する措置を講じています。
関係者は機密解除の期間中、規定に違反した就労や海外旅行はできず、いかなる形でも国家機密を漏洩してはなりません。この期間が終了しても、機密を保持する義務は継続します。違反した場合、関連機関は当該レベルの機密行政管理部門に速やかに報告し、その後、関連部署と連携して処分が行われます。
台湾両岸政策協会の研究員である呉瑟致氏は、現在、中共当局が重視しているのは安全意識だといいます。内部の管理をより具体的に行うため、このような立法措置を講じていると指摘しています。
呉瑟致氏
「昨年の『反スパイ法』から今回の『国家秘密保護法』の改正まで、すべてこのような意味合いを持っています。さらに、この法律が『両会』の前に発表されました。このことから、今後、関連する経済政策や政府の導入政策、または両会で提出される意見など、恐らく安全問題を中心に展開されるでしょう」
中共当局は近年、国家全体の監視と管理を強化するために、法律という手段を頻繁に利用してきました。新しい「国家秘密保護法」は、監視範囲を「国家機密」から「業務機密」まで拡大しただけでなく、機密に携わる人の離職後の雇用や出国も厳しく管理しています。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」によれば、中国でのビジネスリスクに対する外国企業の懸念を悪化させる可能性があるといいます。
呉瑟致氏
「何が国家機密で、何が機密情報なのか、明確な指示や定義はありません。公の権力や国家の利益を脅かす可能性があるかどうかにかかわらず、中国または中共の指導者がすべてを決定するのです」
呉瑟致氏はさらに、この法律が、外国企業が中国に投資する際の懸念を高めていると述べています。
呉瑟致氏
「この法律は外国企業が中国に投資する意欲に影響を与えるでしょう。第一に、関連する環境に関する評価データが参照できないためです。第二に、情報を得るために政府に出向くと、守秘義務問題の圧力に直面します。外国企業はリスク回避をし、中国への進出を避けるでしょう」
評論家は、中共当局が法律の改正を通じて、外国企業が中国から撤退する理由を内部的に解釈しているといいます。外国企業の減少は、中国の経済環境の悪化だけではなく、国家安全を確保するためだと国民に信じ込ませようとしていると指摘しています。
在米の中国人権弁護士、呉紹平氏
「目的は明らかに習近平の一党支配に従うことです。そのため、常に国家安全を最優先にしています。国家安全保障の名の下に、独裁政権の権力を安定させようとしているのです。もちろん、国家安全保障は名目だけで、実際には国家安全保障とは全く関係がありません」
米国在住の中国人権弁護士、呉紹平氏によると、刑事事件において、中共は確実にいくつかの証拠を隠ぺいします。弁護士に資料を閲覧させず、厳格な審査やいわゆる秘密協定に署名しなければなりません。そのため、その後、弁護士が刑事事件を処理するのはますます難しくなり、誤審や冤罪の数も増えると予想されています。