中国共産党(中共)の両会が北京で開催されています。今回、全国人民代表大会(全人代)の議事日程には人事の任免に関する取り決めがなく、全人代の報道官は30年以上続いてきた首相定例記者会見の中止を突然発表しました。また、第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)もまだ開催されていません。これら一連の異常な動きが国際世論の懸念を呼んでいます。
3月5日の午前、中共の第14回全人代第2回会議が開幕され、李強首相が政府の業務報告を行いました。4日には、中国人民政治協商会議(政協)の第14期第2回会議も開催され、政協の王滬寧主席が業務報告を行いました。
両会は単なる形式的なものとなっていますが、毎年注目を集めており、今年も例外ではありません。当局の一連の異常な動きは、国際社会の世論と注目を集めています。
元中国弁護士、カナダ「民陣」の頼建平会長
「中共の両会には見どころがあります。現在、第20期の三中全会が開催されず、経済政策に関する大きな方針が確定されていません。さらに、全人代の報道官は両会終了後の定例記者会見の中止を発表しました。30年以上も続いてきた慣例を中止するということは、中共の現在の状況が非常に厳しいことを示しています。政治、経済、外交のあらゆる危機が前例のないレベルに達しているということです」
豪州在住の歴史学者、李元華氏
「記者会見の中止は、習近平独裁政権後、首相は単なる飾りであることを示しています。かつて、首相は中共体制内で経済を担当していました。実際、国家主席であろうと党の書記であろうと、この部分には関わりません。しかし今、習近平は徐々にすべてを自分の管理下に置くようにしているので、この記者会見はあってもなくても関係ないでしょう」
4日、全人代の婁勤倹報道官は記者の質問に対し、数年間、首相記者会見を開催しないと述べました。分析によれば、これは党首の絶対的な権威を強調するためであり、党内には二番手の存在はないということです。
李元華氏
「これはもっぱら政治的な意味があり、私はすべての慣例を破ることができ、いわゆる(68歳以上なら引退する)『七上八下』であろうと、首相記者会見であろうと、私はこれらのことをすべて変えることができる、ということなのです」
両会前には、通常、三中全会が前年の秋に開催されるはずでしたが、今になっても開催されていません。
李元華氏
「これは主に、問題が多すぎるためです。通常、三中全会では経済綱領を打ち出さなければなりません。しかし、すべての経済政策は現在実行できないか、もしくは解決策も見つかっていません。もし今開催すれば、時間がないうえに、具体的な提案も出せません。そのため、形式的なことすらできないので開催できないのです」
毎年の首相記者会見では、経済や政治など感度の高い問題が質問されます。
頼建平氏
「以前の記者会見では、記者によっては非常に扱いにくい質問をすることもありました。本当のことを答えると、一党独裁の維持に不利になるかもしれません。しかし、嘘をつくとすぐに見破られる可能性もあります。全世界を前にして、そのような記者会見に対応できるわけがないので、いっそのこと中止して、今後も開催しないのです」
米国在住の時事評論家、藍述氏
「さらに、国家発展改革委員会と財政部の報告が書面で提出されました。そして、記者会見は経済問題、生活問題、外交問題の3つだけとなりました。中国以外の記者を受け入れませんが、これら3つの記者会見の結果がどうなるのかは、まだまだ目が離せません」
さらに、官製メディアが4日に公表した全人代の議事日程には、人事の任免に関する取り決めがありません。
藍述氏
「注目されている外交部長の任命は今回の両会で行われないということです。もちろん、外交部長の任命は、両会期間に行われなければならないという決まりはなければ、全人代の全体会議を通して決定する必要もありません。つまり、習近平が候補者を決定した後、具体的な任命は常務委員会によって行われます」
両会期間中、国際世論は秦剛元外相、李尚福元国防相、そして副書記を解任された張暁明元香港マカオ事務弁公室主任に注目していますが、中共は彼らの動向を公表していません。
頼建平氏
「これは中共の人事配置に多くの不確定要素があることを示しています。三中全会も延期されました。これは中共の策略の一つであり、政治情勢が前例のない矛盾や危機に陥った時、いっそのこと通常の党大会や全体会議すら開催しないという手段を取ったのです」
賴建平氏によると、現在、中共は基本的に四面楚歌の状態にあり、逆転の余地はなく、今回の両会は、終焉の前の夕日の照り返しなのです。