中国水泳チームのドーピング問題 国際機関が関与か

最近、中国の水泳チームがホルモン剤を使用したスキャンダルが明るみに出て、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が騒動の中心に関与しており、その不作為が批判されています。専門家は、中国共産党(中共)が世界の公害となり、ホルモン剤で中国のスポーツ選手を害し、国際機関を巻き込んでいると指摘しています。中共がなくならない限り、国際社会に安寧はありません。

フランスのパリオリンピック開幕まであと3か月になりましたが、ドイツと米国のメディアによる最新の調査によると、2021年初めに23人の中国の水泳選手がトリメタジジン検査で陽性反応を示しましたが、制裁を受けていませんでした。

トリメタジジンルは10年前に禁止薬物に指定されており、通常、選手がドーピング検査で陽性となった場合は自動的に資格停止処分となります。しかし、中共のアンチ・ドーピングセンターは23人の選手に対して資格停止を行わず、数週間後には東京オリンピックに参加させ、選手は3つのメダルを獲得しました。

元中国の国家バスケットボールチームの選手である陳凱氏は、中国の選手が試合前にドーピング剤を使用し、トレーニング中にホルモン剤を使用することはすでに常態化していると述べています。今回の事件が明るみに出たのは、パリオリンピックと関連があります。

陳凱氏
「オリンピックが近づくにつれて、人々は中国の選手の過去のスキャンダルに注目するようになります。また、中共の世界への影響や脅威が増大するにつれて、国際社会は中国が行っている薬物使用の乱れたスキャンダルに焦点を当てるようになりました」

国際的な世論の圧力の下で、中共の公安部は事件について調査を行い、アンチ・ドーピングセンターが調査報告書を提供しました。その結論は、選手が汚染された食品を摂取したというものでした。世界アンチ・ドーピング機構も中国側の調査結果を認めました。

匿名のアンチ・ドーピングの専門家がフランスのメディアに対し、中国のアンチ・ドーピングセンターの調査手法は「世界アンチ・ドーピング機構の通常の規則に沿っていない」と指摘しています。選手がドーピング検査を受ける際には、体内の不意の汚染があったことと、ドーピングを意図していなかったことを証明する必要があります。

分析によれば、選手がドーピングを行う背景には、中共の許可や強制があるとされ、そのため同党の調査結果には信頼性が欠けるとされているのです。

陳凱氏
「中国のスポーツ界はスキャンダルが多くあります。特に水泳、陸上、重量挙げでは、ホルモン剤や違法な薬物の使用が広がっています。薬物の使用は他の選手も使っているため、使わないと競争に負けてしまうという強制感があります。だから、見つからないように薬物を使うことが暗黙の了解となっているのです」

陳凱氏によると、中国のスポーツ界は賭博、賄賂、腐敗などのスキャンダルで満ちているといいます。

陳凱氏
「中国のスポーツ界にいた時、周囲は腐敗していて、スポーツを心から愛する人はほとんどいませんでした。みんながドーピングや腐敗、賭博に関わっていました。参加しなければ、他人からは脅威と見なされ、体制に対する脅威となります。専制的な社会では、スポーツ界を含むすべての分野で、人々は専門性を重んじるよりも、自己の利益や将来の安全を優先しています」

分析では、中共の国家体制のもとで、国際大会での金メダル獲得に国の力を注ぐことが、中国の選手を苦しめ、関連する組織を腐敗させ、一部の国際機関の評判を落としていると指摘されています。

米国在住の人権弁護士、呉紹平氏
「中共は選手に自らドーピング剤を使用させ、国際オリンピック委員会や世界アンチ・ドーピング機構も、そのような自己監視と自己弁護の報告を受け入れてしまっています。この報告が信用できるわけがないでしょう。信頼性は全くありません。そして、アンチ・ドーピング機構が中国に調査を任せることで、真実が明らかになることはありません」

2021年の終わりに、ロシアのフィギュアスケーター、カミラ・ワリエワ氏は競技前のトリメタジジン検査で陽性となり、4年間の資格停止処分を受けました。

呉紹平氏
「この問題では明らかな二重基準が存在します。これは何を示しているのでしょうか?国際競技団体が少なくとも中共によって腐敗していることを意味しています。中共は多くの国際機関の役員を堕落させ、これらの組織の信用を地に落としました。中共は世界の問題の一因であり、その存在がなくならない限り、世界は平和を得られず、さらに堕落と腐敗の道を進むでしょう」

世界アンチ・ドーピング機構は、中国選手のドーピング問題で批判の的となっています。行動を起こさなかった、中国に対して過度に寛大であった、さらには、擁護していたと非難されています。

4月23日には、米国のアンチ・ドーピング機構は世界アンチ・ドーピング機構の根本的な改革を求め、中国の水泳選手に関する事件の調査を要請しました。

 
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