中共重要会議「三中全会」、民間部門締上げ

中国共産党(中共)の重要会議「三中全会」が先日閉幕しました。会議の公式発表では、経済の救済措置が示されることなく、計画経済が最優先とされました。専門家らは、この会議が改革開放以前のやり方に戻るための動員会議だと述べています。また、共産党の支配に服従するよう、民間経済に拘束衣を着せるものだと考えています。

7月18日、中共第20期中央委員会第3回全体会議が閉幕しました。閉幕後、共産党の官製メディアは5千字に及ぶ声明を発表し、中共のいわゆる「改革の全面的深化」を謳い、今後、あらゆる面で「中国式現代化」を推進することを強調しました。

しかし、この声明には、経済の救済案は盛り込まれず、計画経済を第一とし、公共部門経済の整理・発展、全国統一市場の建設の必要性、市場経済の基本システムの改善の必要性などが強調されました。

米サウスカロライナ大学エイキン校、謝田教授
「今回の第3回全体会議では、期待されていた真の景気刺激策は打ち出されませんでした。基本的には、基本的には逆戻りするという方針がさらに強化されました。つまり、国有経済を強化し、民間部門に対し、共産党の支配に従うよう、より一段と拘束力を強めることです

台湾の経済評論家、黄世聡氏は三中全会では、蒸し返して空疎な政治スローガンを唱えていると述べました。

台湾の経済評論家、黄世聡氏
「三中全会では、経済に関する具体的な対策が打ち出されることを皆が期待していました。しかし、党の統制強化など習近平が主張してきたことの一部は変わっていません。党の統制強化、国家権力が強くなる一方で、個人の自由や権利が抑制され、人民が後退する状況いわゆる経済発展よりも経済安全保障が大事だという考え方など、三中全会の基調は変わっていません。開催していないのと同じです」

現在、中共は、不動産市場の崩壊、高い失業率、企業の大量倒産、消費低迷、地方政府の債務といった経済問題に直面しています。外国人投資家も国内投資家も中国市場への投資を控えています。

黄世聡氏
「中共のトップは、目の前にある問題が何であるかを知っているはずだと思う。中国本土の人々でさえ、何が問題なのかを理解しています。しかし、問題は経済の失速状態に対する解決策を打ち出せないことであり、多くの中国人がさらに自信を失うだろうと考えられます」

中共の公式発表ではまた、「改革の全面的深化」の基調を打ち出し、中共の中央集権的指導を堅持すべきであるとしました。

謝田氏
「民間企業や民間部門にとって、経済環境は今後さらに悪化していくでしょう。中共は、経済と国を統治する能力が不足しており、景気低迷が続いているため、共産党の指導力をさらに強化し、経済と社会の各方面に対する支配力を強めるでしょう。これは実際、改革開放以前のやり方に戻るための動員会議であり、新しいアイデアもなく、経済に好影響を与えることもありません」

また、中共の今後の政策目標として、産業近代化の実現、内需拡大、債務・不動産セクターのリスク抑制などが掲げられていますが、具体的な実行内容については触れられていません。

黄世聡氏
「問題点についてはよく話してくれたし、今後どうするかについてもよく話してくれましたが、問題はどうするかです。 例えば内需拡大ですが、どうやって拡大するのでしょうか。 第一に、政府にはお金がない。第二に、地方政府にこれだけの借金があり、不動産市況が急落している。口で「内需拡大」といっても、それが実現できるというわけではありません。 習近平が政権を握ってから、よくいろいろな方向性やスローガンを打ち出してきたと思いますが、しかし、問題はどれも実現できないことです」

台湾の金融専門家である黄世聡氏は、外資企業が撤退し、中国人企業家が投資しなくなった理由もここにあると指摘しています。中共はあることを言いながら別のことをしており、いくら会議を開いても実際の問題を解決できないと述べました。

謝田氏
「具体的な内容や提案がないからです。 少なくとも、過剰生産能力、各国からの制裁措置、不動産セクターの崩壊、
地方政府の債務問題などを見ると、解決の見込みはなく、さらに悪化するしかありません」

声明には「改革」という言葉が50回以上登場し、中共創立80周年にあたる2029年までに、今回の会議で提案された改革課題を完了させると宣言しています。

米国在住の時事評論家、藍述氏
「習近平が就任以来行ってきたことはすべて民間資本との戦いですが、口ではそうは言いません。 彼が言っているのは、国有経済を拡大・強化したいということであり、彼がやっているのは改革の旗の下での反改革なのです」

中共中央委員会第3回全体会議当時、中国では「歴史のゴミのような時期」という言葉が流行語となり、改革が行き詰まり、中共はもう助からないという民衆の気持ちの表れであり、中共の政治体制に対する絶望と呪い、中共が一刻も早く歴史の表舞台から退場することへの期待の表れとされました。


藍述氏
「民間資本が増え続ければ共産党は倒れます。 しかし、習近平は「改革」という言葉を失うわけにはいかないのです。 過去数十年、改革のおかげで中国人民はいい暮らしをしてきたからです。 今、彼は改革という言葉を捨てるわけにはいかないので、改革の旗印を使い続けていますが、以
前のやり方に戻ろうとしています」

中国の経済発展は、共産党の支配的立場に奉仕するものでなければならず、中国の将来の発展は、毛沢東時代に逆戻りするだろうと指摘されました。 毛沢東が晩年に行った文化大革命などの政治運動は、中国の経済と社会を崩壊寸前まで追い込みました。

 
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