中国の通信機器大手ファーウェイ(華為)が製造するスマートフォンがパリ五輪で問題を起こしました。報道によると、中国の記者に支給されたファーウェイ製のスマホで、五輪の公式アプリをインストールできなかったため、記者らはスマホを「ガラクタ」と批判しました。
7月29日、中国の元市民ジャーナリストである陳秋実氏がX(旧ツイッター)に投稿し、中国共産党中央テレビ(CCTV)の記者が陳氏に対して、支給されたファーウェイ製のスマホでは、パリ五輪の大会組織委員会が要求する会場用アプリをインストールできなかったと不満を漏らしたと明かしました。
Xの「新聞調査」というアカウントは7月30日にスクリーンショットを公開し、CCTVの記者が、パリでファーウェイ製のスマホが「ガラクタ」だと不満を述べ、多数の中国の記者がネット検閲対策ソフトの使用方法を学び、急きょiPhoneを購入する様子が、注目の光景として揶揄されました。
この投稿は議論を引き起こし、「ファーウェイは圧倒的なリードを誇る」と皮肉の声や、ファーウェイ製のスマホには「出境易」というアプリが搭載されており、海外の一部のアプリをインストールできると指摘する声がありました。
元ソフトウェアエンジニア、李氏
「ファーウェイ製のスマホには『出境易』というアプリがあり、中国の旅行者がファーウェイ製のスマホを海外に持って行った際に、GoogleマップやAirbnb、YouTubeなどの海外で人気のアプリをインストールするのに役立ちます。ただし、あまりメジャーでないアプリや新しくリリースされたアプリはインストールできないことが多いです」
2019年5月、米国は、安全保障上の懸念があるとして、中国共産党軍とのつながりが強く疑われるファーウェイを禁輸対象である「エンティティーリスト」に追加しました。これを受け、グーグルはファーウェイに対して、アンドロイドのライセンス提供を停止すると発表し、ファーウェイ製スマホでは、グーグルのアプリをインストールできなくなりました。
元中国のソフトウェアエンジニア、李氏は新唐人に対し、米国の制裁措置もさることながら、ファーウェイ自体もソフトウェアの審査が厳しく、特定のソフトウェアのインストールを禁じていると語りました。
李氏は次のように述べています。
「ファーウェイのスマートフォンにネット検閲対策ソフトをインストールすると、そのソフトウェアが端末に悪影響を及ぼすと警告されます。実際に使用すると、裏で何らかの妨害や制限が行われ、ネット検閲対策ソフトが機能しなくなることがあります」
さらに李氏は、ファーウェイ製のスマホはユーザーに対する監視を厳しく行っており、中共当局が官僚や公務員に支給する端末には、追跡と盗聴の機能が備わっているため、使用することは非常にリスクが高いと警告しています。
李氏
「ファーウェイのスマホは、中共当局と緊密に連携しており、共産党の言論統制や市民の監視に協力しています。海外でファーウェイのスマホを使う人々も、この監視の対象になっているのです」