中国共産党(中共)が提案している「ネット番号」「ネット身分証」制度はまだ正式に導入されていませんが、関連するアプリケーションはすでにリリースされています。最近、中国・山東省濰坊市の市民が、この制度は違法だとして、公安部を提訴しました。「デジタル監獄」を作り出すとの疑問が持たれ、民衆から強い反発を招いています。
この制度はまだ正式に施行されていませんが、関連するアプリケーションは既に公開されています。市民は、法的根拠がないまま施行されたことに対し、北京市東城区の裁判所に、公的に起訴しました。この制度は「デジタル監獄」を作り出すものとして、広く反発を呼んでいます。
台湾国立中央大学兼任副教授、曽建元氏
「公安部を提訴した市民は法律への意識が非常に高いです。現在の状況では、たとえ試験的に行われているとしても、その制度は法律に基づいていません」
最近、中共の公安部とネット情報局は「ネット身分認証」の管理方法を共同で草案し、パブリックコメントを実施しています。しかし、関連アプリはすでに複数のアプリストアでリリースされており、例えば、「国家ネット身分認証App(試験版)」は昨年6月27日にリリースされました。申請者は「ネット番号」が付された電子ネット身分証を受け取ることになります。WeChat、タオバオ、シャオホンシュなど、71のアプリで試験運用が開始されています。
中共当局は長年にわたり情報の厳格な管理と監視を行い、インターネット上の市民の行動を追跡してきました。全国的なネット身分証の導入は、集中管理を実現する手段とされています。
曽建元氏
「情報化時代を迎え、人々はコミュニケーションや日常生活においてインターネットに大きく依存しています。こうした中、実質的に全国民の完全な管理が可能になり、個人のプライバシーは事実上消滅するでしょう」
ネットユーザーからは、「以前は、携帯番号を変更すれば『リスタート』できるが、今は『デジタル烙印』が押され、一生結びつけられる」との声が上がっています。
清華大学法学院の労東燕教授は「ネット身分証」制度を、パンデミックの期間中に導入された「健康コード」のアップグレード版と批判しています。
米国在住の中国問題専門家、唐靖遠氏
「『健康宝』という健康コード(健康状態確認プログラム)は、現実世界での移動履歴をチェックしますが、『ネット番号』はあなたのすべてのオンライン活動を監視します。将来的には、ネットの使用権を政府が管理する分級制度になる可能性があります」
この問題は広範囲で反発を引き起こしていますが、公式な対応はまだありません。公式には、「ネットユーザーは自由に申請可能であり、ネットプラットフォームもこのサービスに自由に参加できる」とされていますが、市民はコロナ禍に「任意」とされながら実際には強制された措置に疑問を呈しています。コロナの期間中、名目上「任意」とされていたものの、実際には無理やり隔離されたり、強制的にワクチン接種を受けさせられたりしました。
山東省濰坊市の市民が、中共の公安部を訴えた件について、台湾国立中央大学の兼任副教授である曽建元氏は、市民が訴訟に勝利することを望んでいると述べています。
曽建元氏
「このような行政規則は、違法であり、無効であるべきです。現在、中共の高圧的な支配の下でも、まだ良心(暴政に対する抵抗)を持つ人や、一部の理念が固い人たちが少しでも立ち上がる余地があります。ですから、我々は彼らを支援すべきです」