移植医が遺体の骨を売買、裏に深い闇が

8月8日の午後、青島大学付属病院臓器移植センターは、急遽、医師の李志強のプロフィールをウェブサイトから削除しました。李志強は、山西省奧瑞生物材料有限公司が違法に遺体を盗み出し、売買していた事件に関与している疑いが持たれています。この事件には、さらに深い謎や裏の事情が隠されている可能性があると指摘されています。

山西奧瑞が、違法に遺体を盗み、それを医療用材料に加工して利益を得ていた事件が最近、大きな注目を浴びています。山西省太原市公安局が今年5月23日に発表した「起訴意見書」によれば、2015年から2021年にかけて、青島大学付属病院の肝臓病センターの副主任医師である李志強が、遺体を解体し、冷蔵保存した上で、山西奧瑞に5回にわたって売却していたことが明らかになりました。李志強は、合計で十数体分の人体骨格を売り、一体あたり1万から2.2万元の価格で取引されていたとされています。

「澎湃新聞」によると、8月8日の午後、青島大学付属病院の臓器移植センターは急遽、李志強のプロフィールをウェブサイトから削除しました。

起訴意見書によると、山西奧瑞公司が購入した遺体は、20歳から60歳までの健康な人々のものであるとされています。

米国在住の時事評論家、唐靖遠氏は、李志強による遺体の不法売買に関して、いくつかの疑問点を指摘しています。

米国在住の時事評論家、唐靖遠氏
「もしこれらの人々が、病院で亡くなったのだとしたら、死亡証明書は担当医が発行する必要があり、家族はその証明書を基に遺体を引き取り、民政局で、戸籍の抹消手続きを行うはずです。なぜ、この十数人の遺体に対して、
家族が遺体を引き取りしていなかったのでしょうか? また、医師である李志強には、遺体を処理する権限がないはずですが、どのようにして、彼が遺体の全権処理を行えたのでしょうか?」

中国問題専門家である橫河氏は、移植センターで使用される臓器が、合法的な出所であっても、医師はその臓器のみを利用でき、遺体の残りの部分は、引き続き家族が所有すると述べました。

中国問題の専門家、横河氏
「移植センターが、
臓器だけでなく骨格も提供していることから、これらの臓器がドナー提供ではなく、違法に入手されている可能性が高いと考えられます。中国における生体臓器摘出が、巨大な産業連鎖を形成していることは、周知の事実です。今回発覚した遺体違法入手事件は、この生体摘出の産業連鎖と関連があることが明らかです。少なくとも、その一部は生体臓器摘出の産業連鎖の下流に位置し、生体摘出された後の遺体の一部が、遺体供給源となっているのです」

李志強が勤務していた青島大学付属病院の臓器移植センターは、2014年に著名な肝臓移植専門家である臧運金氏が関与して設立した施設です。臧運金氏は、法輪功学習者からの強制的臓器摘出に関与した疑いが持たれており、その活動が米国に本部を構える「法輪功迫害調査国際組織(追查国際)」によって調査されています。

臧運金氏は、2005年から北京にある武警総医院の肝臓移植研究所で副所長を務め、少なくとも1570件の肝臓移植手術を行いました。この病院は軍に所属しており、多数の臓器移植が行われていますが、ドナーについては厳重に秘密にされています。追查国際の報告によれば、軍や武警が経営する病院が法輪功学習者から生体臓器を摘出し、移植する活動の中心的役割を担っているとされています。

2014年、中国共産党(中共)は、死刑囚からの臓器採取を停止すると表明し、2015年から正式にその使用を中止しました。多くの移植医師たちは、今後の臓器供給について心配しています。しかし、青島大学付属病院は大規模な移植センターを建設し、臧運金氏を雇いました。以降、青島での臓器供給が増加し、肝臓や腎臓の移植手術は全国トップクラスの件数を維持し、山東省では第一位になりました。

臧運金氏は、「青島モデル」というシステムを構築しました。移植に必要な「潜在的なドナー」を青島大学付属病院の移植センターに事前に移送し、脳死と診断された後に、病院が臓器の機能を維持し、移植手術の準備を事前に整えるというものです。

「青島モデル」の脳死は、中国本土の臓器移植業界で一般的です。国際的な調査によれば、中国共産党の軍や警察、医師が意図的にドナーの脳死を引き起こし、生体臓器を摘出しているとされています。元重慶市公安局長である王立軍らは、第三軍医大学と協力して、脳死を意図的に引き起こす装置を開発しました。

李志強が遺体を売却した山西奧瑞は、中国放射線防護研究院の子会社です。その実質上の経営者である李宝興氏が開発した「同種骨移植材料」製品は、9つの国家特許を取得しています。李氏は2005年4月には全国労働模範にも選ばれました。山西奧瑞は「四級監管生産企業名簿」に記載され、重点的に監査される企業でした。しかし、同社は遺体の寄付登録書や検査報告書を偽造し、遺体を不正に売買して利益を得ていたとされています。これにより、国家レベルの不正な産業チェーンが、長年にわたり発覚しなかったと指摘されています。

 
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