今月初めに韓国で、地下駐車場に止められていたメルセデス・ベンツ製の電気自動車(EV)が発火し、約140台の車両が被災する火災が発生しました。メルセデス・ベンツ韓国は13日、発火した車両に搭載されていたバッテリーが、中国の電気自動車(EV)用電池メーカー、ファラシス・エナジー(Farasis Energy)製であることを公表しました。
この火災は8月1日にソウル西部の仁川市にあるマンションの地下駐車場で発生し、SNSで共有された焼け焦げた車の写真が大きな反響を呼びました。現在、韓国の複数のマンションで、電気自動車の地下駐車場への入庫を禁止する動きが進んでいます。
仁川の消防局によると、煙を吸い込んだ住民23人が病院に搬送された。消防局の報道担当者は、「火災の原因分析は続いているが、監視カメラの映像から、バッテリーが火災の原因である可能性がある」と述べています。
地元メディアによると、メルセデス・ベンツ韓国は、発火事故を起こした車種がメルセデス・ベンツ「EQE350」であり、搭載されていたバッテリーが中国のファラシス・エナジー製であると公表しました。この発表に対し、韓国の電動車オーナーの間で怒りが広がり、「なぜ6万7千ドルもするこの高級車に、フ中国のファラシス・エナジー社のバッテリーを使用しているのか」との批判が出ています。
2021年には、中国の大手自動車メーカー、北京汽車集団が約3万2千台の電動車をリコールしましたが、その理由の一つがファラシス・エナジー製バッテリーに発火のリスクがあるためだと明かしています。リチウムイオンバッテリーは、一度燃え始めると数時間にわたって燃焼し続けるため、消火が非常に難しいとされています。専門家によると、バッテリーの燃焼温度は通常のガソリン車よりもはるかに高く、バッテリーの熱暴走が原因とされています。これが消防隊員にとって大きな課題となっています。
地元メディアは、韓国が「電動車恐怖症」に見舞われていると報じています。仁川市では、火災リスクを軽減するため、公共の充電ステーションでの電動車の充電を、80%以下に制限することが検討されています。
国民の不安を和らげるため、韓国政府は自動車メーカーに対して、電気自動車のバッテリー情報を積極的に公開するよう求め、来月初旬には電気自動車の安全対策の総合計画を発表する予定です。
韓国の聯合ニュースによれば、電気自動車に搭載されているバッテリー情報は当初非公開事項でしたが、今回の火災に巻き込まれた車両のバッテリーの銘柄が当初報道されていたものと異なっていたため、自動車所有者に不安を与え、バッテリーメーカーについて情報公開を求める声が高まっているといいます。
さらに、韓国政府はすべての電気自動車メーカーに対し、販売済みの車両に、無料で検査を実施するよう提案し、集合住宅の地下駐車場における消防設備の安全点検を行うことを決定しました。国土交通部は、国内外の自動車メーカーと電気自動車のバッテリー情報の公開や安全検査について協議するための会議を開催しました。
昨年、欧州連合(EU)は電気自動車に必須の「バッテリーパスポート」を導入することを承認しました。製造者や材料の出所に関する詳細な規定が含まれており、2027年から施行される予定です。