中国高額消費市場の停滞とその理由

2024年に入り、中国の大都市では、高級レストランの閉店が相次ぎ、高級ブランド品への消費も減少しています。これは富裕層の消費心理を反映していると分析されています。

ビデオ撮影者のコメント
「一人当たりの平均消費が1580元に上る高級レストラン『L’Atelier 18』が、営業を一時休止しました」

最近、上海の有名な観光地・外灘にある高級フランス料理店「L’Atelier 18」が、開店から半年余りで突然閉店し、注目を集めています。

上海のブロガー
「実は、『L’Atelier 18』だけでなく、過去2年間に上海の高級レストランが次々と閉店しています」

統計によると、過去5年間で上海には、一人当たり5百元以上を消費する高級飲食店が2700店以上ありましたが、今年7月にはその数が1400店以少なくなりました。

中国の他の都市でも、高級飲食店が、同様の苦境に立たされており、多くの店が「節約メニュー」を導入しています。

今年上半期、中国の飲食産業の成長率が、2010年以来初めて8%を下回りました。この減速は、衣料品、化粧品、宝飾品の分野にも広がっています。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の経済学者、兪偉雄
主な理由は中国経済が低迷しているからです。特に不動産市場のバブル崩壊が、深刻な影響を及ぼしています。不動産は中国の富裕層や中間層にとって主要な資産であり、資産価値が減少すると、消費を控える傾向が強まります」

中国では、高額消費の主な担い手は三つのグループに分けられます。一つは高官、権力者とその家族、次に民間の企業主や起業家、そして中流階級です。

分析によれば、国有企業が存在感を高め、民間企業が弱体化される中国共産党による経済政策が、民間経済を抑圧し、中流階級の急激な減少を招いているため、消費の減少が不可避とされています。

米国の経済学者、黄大衛
「中国
民間の企業主や起業家にとって、国内の状況は厳しく、多くの企業が倒産しており、国家レベルでの圧力や制約を受けています。現在、雇用状況はよくなく、給与カットや失業が深刻化しています。これは中流階級に大きな打撃を与え、不動産市場の低迷に加えて、貧困に逆戻りする中流階級が増えています」

UBSの調査報告によれば、今年1月から7月にかけて中国でのラグジュアリー商品の売上が約10%減少しており、今後ラグジュアリーブランド新規店舗オープンを遅らせる傾向にあることが示唆されています。

専門家は、中流階層の縮小が社会のバランスを崩し、社会全体の不安定化につながる可能性があると警告しています。

 黃大衛
「中国の富裕層と中流階級の消滅によって社会全体のバランスが崩れ、ピラミッド型の構造に変わりつつあります。これは中国の将来の成長にとって、非常にマイナスであり、社会の不安定さを招き、経済発展の停滞を引き起こす可能性があります。結果として、社会全体が急激に貧困化し、広範な市民にとって深刻な事態となります」

 
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