最近、中国の北京で開催された「2024年世界ロボット大会」において、ある中国のメーカーが、女性をロボットに偽装させ、来場者にロボットが本当は人間であると明かさずに展示しました。ロボットの様子を映した動画がオンライン上に投稿され、大きな話題を呼んでいます。
「2024年世界ロボット大会」は、北京市政府、中共の工業情報化部、中国科学技術協会が共同で主催し、今月25日に多数のメーカーが自社のロボットを披露しました。
ある中国メーカーは、女性を雇い「人型ロボット」として見せかけましたが、来場者にはその事実を知らせていませんでした。不自然さに気付いた一部の来場者は、わざと女性モデルに乱暴に触れ、その様子がネットで公開され、話題となりました。
ネットユーザーの中には、「中国は何でも偽造する」と揶揄する声や、「ロボットの女性がかわいそう。倫理と道徳が大切だ」と同情する声が上がっています。
中国の元ソフトウェアエンジニア、李氏は「実際、AIロボットはある種の商業的な宣伝に過ぎず、従来のバイオニック技術と最新のAI技術には達していない」と指摘しました。
中国の元ソフトウェアエンジニア、李氏
「この種のバイオニックロボットは、人間のように複雑な動作を実行できる段階には達しておらず、単なる商業詐欺です。現在の技術で言えば、AIロボットの能力にはまだまだ程遠いです」
李氏によると、中国のAI技術の発展には、米国と比較して三つの大きな課題があります。一つは最先端の半導体が不足していること、二つ目は先進国からの最先端の技術を入手できないこと、三つ目は中国のビッグデータに偏りがあることです。
李氏
「現在、西側の先進国は中国への半導体輸出に厳しい制限を設けており、中国が入手できるチップは最先端のものではありません。AI技術においても、西側の先進国に大きく劣っています。これらの技術は非常に高度であり、一部は機密として厳重に管理されています」
さらに、中国共産党(中共)はAI技術に対して多くの規制を課し、政治的コントロールを強化しています。
李氏
「AI技術には、正確なデータ入力が必要ですが、政治的に敏感な中国では、データ入力時に政治的な用語や事件を避けなければなりません。その結果、AIの学習結果に偏りが生じてしまいます」