収容所の実態を描いた映画の主人公に当局が越境弾圧

2013年に公開されたドキュメンタリー映画幽霊の頭上 馬三家労働教養所の女性たち』(原題『小鬼頭上的女人』)は、当時社会に広く反響を呼び、主人公の劉華さんはその後、中国共産党(中共)当局から「反党反社会主義、国家安全を脅かした」などの罪名で長期にわたり弾圧を受けました。10年が経過した今でも、中国を離れ、オランダに逃れた劉華さんは、中共国家安全部による国際的な監視を受け続けています。

ドキュメンタリー映画『幽霊の頭上 馬三家労働教養所の女性たち』主人公、劉華さん
馬三家女子労働教養所(強制労働施設)墓地の跡地に建てられました。そのため、たやすく手に入る土地とされています労働教養所の警察は、地下には幽霊が住んでおり、地上には労働による再教育(労働教養)を受ける女性が住んでいると私たちに語りました。私たち所内にいる女性は、地下の幽霊がこの世に住んでおり、私たちが住むのはあの世であると言っています。私たちは文字通り、幽霊たちの頭上に住む女性なのです

2013年4月27日、独立ジャーナリストかつ作家である杜斌さんがドキュメンタリー『幽霊の頭上 馬三家労働教養所の女性たち』を公開し、馬三家労働教養所での法輪功学習者請願者に対する拷問や虐待を暴露しました。この映画は社会に広く反響を呼びました。ドキュメンタリーでは、所内にいた数名の女性たちが非人道的な扱いを受けたと証言しました。「法輪功学習者や請願者たちは女性警官に独房に入れられ、体を四方に引っぱる拷問、吊り上げ、縛り上げ、虎の椅子(手足を固定し、脚の下に板やレンガを入れて脚を異常な角度に曲げる)などの拷問が行われ、さらに数か月間入浴を許されないこともあります」と語りました。

ドキュメンタリー映画『幽霊の頭上 馬三家労働教養所の女性たち』の主人公、劉華さん
「もし罪を認めず、間違いを認めなければ、体罰や虐待、暴行を受け、人間界のあらゆる苦痛を味うことになります」

彼女は馬三家女子労働教養所にいた時、所内の非人道的な拷問をこっそり記録しました。この映画で馬三家女子務教所の悲惨な虐待を暴露したため、2013年に釈放された後、劉さんは中国共産党から長期にわたる弾圧を受けています。

劉華さん
「共産党はこんなに脆弱なのですか?私が二言三言話すだけで、その政権は崩壊し滅亡するのか?自己矛盾ですね。中共は毎日のように中国の人権が世界で最も良いと言っていますが、声を上げるだけで投獄されるなら、その国は一体何なのでしょうか?その国は地獄であり、社会主義の大監獄です」

違法な逮捕と闇の監獄への投獄に耐えかね、さらに「反党反社会主義、国家安全を脅かした」といった汚名を着せられたため、彼女は中国からの脱出を決意しました。

2023年3月、劉華さんはオランダにたどり着きました。4月29日には、国際司法裁判所に難民申請をしました。登録後、彼女は法廷からテル・アペル難民収容センターへの無料バスチケットを受け取りましたが、その時にすでに中共大使館の職員が彼女を尾行していることに気づきました。

劉華さん
彼は、自分が大使館の人間だと言い、私と一緒に大使館に来てくださいと言いました。大使館に行かなければ、バス待合室の二階に行くようにとも言いました。私は、二階にはあなたたちの人が待っています。私がそこに行ったら、自分から進んで災いの中に飛び込むことになると言いました。彼は笑いました。私は『私を説得しようとする必要はない。あなたも私の状況を心の中で理解しているはずだ。夫婦2人は7年間も獄中にいました。それもすべて、あなたたちが私たちを拉致したからではないですか?どんな法的根拠を示してくれたのですか?私が証言したのも、あなたたちに追い詰められたからです。もう生活ができないようにされています。私はもう60歳を超えています。一人で何をするのも大変なのに、あなたたちは国境を越えてまで私を迫害しようとしているのか」と言いました。

劉華さんは記者に対し、難民キャンプにいた時に、瀋陽訛りの国保警察から、中国への帰国を促す電話があったと話しました。彼女は国際司法裁判所にすでに登録していますが、中共が彼女を迫害し続け、国境を越えて彼女を連れ戻そうとしていることに言及しました。

劉華さん
中国から出てこなければ飢え死になってしまうでしょう。60歳を超えており、社会保障も医療保険もなく、大興病院でのケアギバーとしての収入も差し押さえられていました。本当に無法者です。人を飢えさせようとしているのでしょうか」

劉華さんは難民キャンプに16か月間滞在していました。また、杜斌さんがドキュメンタリー『幽霊の頭上 馬三家労働教養所の女性たち』を公開した後、北京の国保警察によって秘密裏に逮捕され、37日間拘留された後に保釈されました。

2020年12月16日に、杜斌さんが「トラブルを起こした」の疑いで北京市大興区孫村派出所に連行され、大興区の拘留所に拘留されました。

 
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