日系企業 中国離脱を加速 – 投資縮小が続くリスクの高まり

日本企業は「脱中国化」を加速しており、中国現地法人への設備投資額は7四半期連続で縮小し、欧州への投資額を下回っています。分析によると、日系企業が中国から離れる主な理由は、リスクが高すぎるためです。

中国共産党(中共)当局が積極的に外資を誘致する一方で、日本企業は撤退を加速しています。

報道によると、今年6月に日産が常州の工場を閉鎖しました。7月にはホンダが広東省の工場を閉鎖し、湖北省の工場での生産を一時停止する計画を発表しました。また、日本のDICは2024年中に中国の液晶材料事業から撤退する予定であり、味の素は冷凍食品工場3社を再編・売却する計画です。また、資生堂も高級スキンケアブランド「BAUM」の中国販売を停止し、モスバーガーも中国市場から撤退しました。

台湾南華大学 国際事務・企業学科専任准教授 孫国祥氏
「中国の労働力コストは上昇し続けており、特にベトナムやタイなど他の東南アジア諸国と比較して、製造業のコスト競争力が低下しています。世界市場での競争力を維持するために、日本企業はよりコストの低い国に生産拠点を移しています。米中貿易戦争も、日系企業の中国での経営コストとリスクを増大させ、特に米国からの制裁や関税の圧力により、多くの日本企業が安定したサプライチェーンを維持できないことを懸念しています」

経済産業省の統計によると、4月から6月までの日本企業の中国現地法人の売上高は、7四半期連続で前年同期を下回りました。

中国政治・経済専門家 梁氏
「主な原因は、中国経済の低迷、収益率と利益の継続的な低下であり、これが日本企業に撤退を選ばせています。次に、中国と西側諸国との間の地政学的緊張が引き起こすいわゆるリスク回避やデカップリング現象があり、米中貿易戦争以降、このリスク回避の動きが徐々に増加しています。第三に、中国の民族主義的な感情が一部の日本企業の信頼を揺るがしています」

「産経新聞」の前台北支局長である矢板明夫氏は、日系企業が中国から撤退する三大理由を「リスクの高さ、現地の態度の悪さ、そして利益が出ないこと」と指摘しています。

矢板氏は、「今年6月に蘇州で起きた日本人学校スクールバスへの襲撃事件と9月に深圳の日本人学校に通う男児が反日暴徒に襲われた事件、また昨年、北京では日本の製薬会社の幹部がスパイ容疑で逮捕されたが、中国側はスパイ事件の詳細を未だに日本側に伝えておらず、これらが日本企業の中国における日本人の安全に対する懸念を深めている」と述べています。

学者たちは、中国の「反スパイ法」や「国家秘密保護法」が、現地での外資系企業に対して更なるリスクをもたらしていると指摘しています。

孫国祥氏
「(中共の)最近の規制強化や政策の変更により、外資系企業の経営環境が不安定になり、不確実性が増しています。データのプライバシー、独占禁止、金融規制など、新たな規制はすべて、日本企業にとって経営のプレッシャーを増大させています」

評論では、外資企業の撤退が中国経済に深刻な影響を及ぼすと警告しています。

孫国祥氏
「日本企業の撤退は、中国の製造業や輸出能力に影響を与え、中国経済に一定の打撃をもたらすでしょう。日本企業が中国から撤退することで、多くの製造業関連の雇用が失われ、中国の雇用圧力がさらに増大します。日本企業が撤退すると、サプライチェーンは他のコストの低い国へとシフトし、中国のグローバルサプライチェーンにおける地位と影響力に影響を与えるでしょう」

梁氏
「最も直接的な影響は、雇用と税収の減少です。次に、これは多くの人々の期待にも影響を与えます。少なくとも心理的には、外国資本の判断が中国の実際の経済状況を反映していることは確かです。たとえ統計局が経済データをかなり美しく装飾できたとしても、現在でも毎年5%程度の成長があり、四半期ごとに4%や5%の成長があるのに、なぜ外国資本は撤退を選ぶのでしょうか? データに問題があるのではないでしょうか?」

中国日本商会の調査によると、1760社の企業のうち、60%が前年より経済状況が悪化したと回答しており、多くの企業が中国以外のアジアや他の地域に重点を移しているとされています。「日経中文網」の報道によると、2024年4月から6月の間に、日系企業の中国および香港における設備投資は前年比16%減少しました。

 
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