EUは、10月30日より中国製の電気自動車に対して反補助金関税を適用すると決定しました。
10月30日、欧州連合(EU)は正式に中国製の電気自動車に対し、5年間の制裁関税を課すことを発表しました。
既存の電気自動車輸入関税10%に加え、中国の自動車メーカーBYDには17%、吉利自動車には18.8%、中国国営の自動車メーカーのSAIC(上海汽車集団)には35.3%の追加関税が課されます。また、上海で生産されているテスラも7.8%の関税が加算されます。さらに、フォルクスワーゲンやBMWなどの車両には20.7%の関税が課され、通常の関税を合わせると、一部の車両では最大45.3%に達する見込みです。
中国共産党(中共)商務部は、EUによる中国製電気自動車への追加関税について「同意も受け入れもできない」と主張し、さらに「公平競争の原則」に反するとして、世界貿易機関(WTO)に提訴する構えを示しました。
ロイター通信は、事情に詳しい2人の関係者の話として、中国政府が制裁措置として、中国の自動車メーカーに対し、関税引き上げを支持したEU加盟国での電気自動車や自動車部品の工場建設を中止するよう指示したと報じています。
以前、中国のメーカーは追加関税を回避するため、欧州現地での自動車生産を相次いで選択する動きがありました。
情報筋によると、中国政府は今回のEUによる関税措置に対する制裁として、欧州の乳製品や高級ワイン、その他の高級品に追加関税を課すことを検討していると伝えられています。
現在のEUと中国の関係について、フランスの自動車メーカー、ルノーのCEOであるルカ・デメオ氏は、EUの決定は世界貿易機関(WTO)の規定に則ったものであると強調しました。
パリでは、ルノーのショールーム外でEUのこの措置を歓迎する市民の姿も見られました。
パリ市民のカレド・ベガさん
「もちろん、中国の電気自動車に関税をかけるのは良いことです。とても良いことです。EUは対応が遅すぎました」
一方で、自国製品が中国で制裁関税の対象になることを懸念するドイツなどの政府や企業は、EUと中国が交渉を通じてこの対立を解決することを望んでいます。
これまでにEUと中国は8回の技術協議を行いましたが、関税に代わる解決策を見出すことはできませんでした。双方は11月1日に再度協議を行うことに合意しています。
中国製の電気自動車はEU市場でのシェアを、2019年の1%から8%にまで拡大し、2025年には15%に達する可能性があります。さらに、中国製電気自動車の製造コストはEU製に比べて少なくとも20%安く、これがEU自動車業界にとって大きな課題となっています。
米国とカナダはすでに中国製電気自動車に対して100%の高額関税を課しています。EUも、この不公平な競争に対抗しなければ、中国から数百万台の電気自動車が欧州に流入し、欧州の自動車市場を圧迫する可能性があると懸念しています。