ドナルド・トランプ氏が2期目の大統領に選出されると、株式市場が急上昇し、世界トップ10の富豪たちの資産は1日で過去最高を記録しました。
ブルームバーグの億万長者指数によると、6日、テスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏を筆頭に、億万長者たちの純資産が635億ドル(約9兆7042億円)急増しました。これは、2012年にブルームバーグが富豪指数を開始して以来、1日あたりの増加幅としては最大となります。
マスク氏自身の資産は265億ドル増加し、総額で2900億ドルに達しました。彼は世界一の富豪であり、またトランプ氏の支持者でもあります。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏と、トランプ氏の支持者であるオラクル創業者のラリー・エリソン氏も資産増加のリストに名を連ね、それぞれ71億ドルと55億ドルの増加を記録しました。
日産、世界で9千人の人員削減と生産能力を20%縮小
7日、日本の自動車メーカー・日産は年間販売予測を下方修正し、世界で9千人の人員削減を発表しました。これは『厳しい状況に対応するための緊急措置』です。
AFP通信によると、日産は当日、上半期の純利益が93.5%減少したことを発表しました。内田誠CEOは、主な原因は北米市場での販売不振であると述べました。
日産は中国国内の競争相手とも苦戦しています。中国の電気自動車メーカーは、中国政府からの補助金と支援を受けて急速に成長しています。
日産の発表によると、厳しい状況に直面している中で、緊急対策を講じて状況を打開し、市場の変化に迅速に対応できる、より精鋭で弾力性のある企業を目指すとのことです。
声明ではさらに、日産は世界で生産能力を20%削減し、9千人の人員削減を予定していると発表しています。
米大統領選が終了 外資企業の中国撤退が加速か
ウォール・ストリート・ジャーナルが7日に報じたところによると、トランプ氏の勝利を受けて、一部の外国企業や金融機関が中国からの撤退を検討しているとのことです。
世界的な家電メーカー、ブレビル(Breville)のCEOであるジム・クレイトン氏は、木曜日の年次株主総会で、トランプ氏が米大統領選に勝利したことで、中国からの消費財が米国の関税引き上げリスクに直面することが確実となったと述べました。
クレイトン氏は、トランプ氏の勝利を受けて、より多くの生産を中国から移転し、米国での在庫を増やすことで、新たな関税の影響を避けようとしていると述べました。トランプ氏が大統領選に勝利した後の最初の取引日には、ブレビルの株価がアジアの早朝取引で3.2%下落しました。
ブレビルは豪州の企業で、米国を含む70か国以上でエスプレッソマシン、トースター、ジューサー、電子レンジなどの家電を販売しています。これらの製品の大部分は深セン市周辺で生産されています。
トランプ氏が就任後に導入する関税政策はまだ不透明です。しかし、トランプ氏は選挙期間中に、すべての輸入品に10〜20%の関税をかけ、中国からの輸入品には60%以上、メキシコからの一部輸入品には最大で100%の関税をかけると公約していました。
第1期目の任期中、トランプ氏は中国に対して貿易戦争を仕掛け、また欧州、カナダ、メキシコからの鉄鋼やアルミニウムに対しても関税を引き上げました。
トランプ氏が再びホワイトハウスに入ることで、米国の金融界でも地政学的な緊張の高まりが懸念されています。多くの米国の金融企業が、中国における事業の撤退や中国部門との分離を検討し、リスクを減らそうとしています。
一部のアナリストは、トランプ氏が中国共産党(中共)に対してさらに強硬な姿勢を取る可能性があり、それによって米国の金融企業が中国での事業運営における規制リスクが増すと考えています。
パンデミック前の10年間、ウォール・ストリートの投資銀行や主要な米国資産運用会社は中国本土で積極的に事業を拡大し、大きな利益を上げてきました。
しかし、近年の経済減速や企業取引および融資に対する厳しい規制監査の影響により、一部のウォール・ストリートの企業は中国での事業規模を縮小しています。
金融市場分析会社ディールロジック(Dealogic)のデータによると、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、シティグループの投資銀行の2024年における中国での投資収入は4億5400万ドルでした。
この数字は2023年の2億7600万ドルを上回っていますが、2020年の16億ドルのピークには遠く及びません。バイデン大統領の任期中に緊張する地政学的状況も、一部の企業に対して中国戦略の再考を促しました。
また、パンデミック以降、中共は弾圧と統制を強化しており、中国で活動する外資企業もますます大きな圧力に直面しています。昨年7月に新たな「反スパイ法」が施行されて以降、中国にいる外資企業の従業員や外国人が拘束されたとの報道が相次ぎ、外資企業の中国撤退を加速させる要因となっています。