ドイツの警告 中共が記者と偽りスパイ活動

欧米諸国では中国スパイの浸透事件が相次いでいます。先日、ドイツ連邦内務省が、中国共産党(中共)のスパイが記者を装いドイツで情報収集を行っていると警告しました。分析によると、中共のスパイは長期間にわたり西側諸国に潜伏しており、記者をスパイとして派遣するのは中共の伝統的な手法だと指摘しています。

11月21日、ドイツメディアの報道によると、「ドイツの安全機関は、中国共産党の機関がドイツで働く中国人記者の立場を利用して情報を収集していることを十分に認識している」とドイツ連邦内務省が発表したと明らかにしました。また、これらのスパイは中共駐ベルリン大使館と密接な関係にあるといいます。

ただし、連邦内務省は詳細を明らかにせず、現時点でドイツがスパイ活動に関与している疑いのある中国人記者を追放した事例はないと述べています。

カナダ華僑作家 盛雪氏
「中共のスパイはさまざまなカモフラージュを用いて西側諸国に潜伏しており、これはすでに数十年にわたる古い問題です。メディア関係者として考えると、『新華社』や『人民日報』のような中国の主要メディアが民主主義国家に派遣される際、これらの人々にはすでにスパイとしての役割が与えられています」

『人民日報』深圳支局の首席記者であった程凱氏も、新唐人テレビのインタビューでこの点を認めています。

前『人民日報』深圳支局首席記者 程凱氏
「中国のメディアには、行政機関における地位に準じた格付けが存在します。『人民日報』や『新華社』は最高クラスの『正部級』に属し、副次クラスの『副部級』には『光明日報』や『経済日報』、さらに『工人日報』『農民日報』といった専門紙が含まれます。これらのメディアが海外に派遣する記者の中には、実際に中共の情報活動を担う任務を負っている者が少なからず存在します」

米国在住の時事評論家 邢天行氏
「中共が海外に送り出すスパイの中で、最もよく使われる身分が記者です。記者という職業は、関連する各部門に接触しやすく、出入りがより自由だからです。これは中共がスパイを派遣する際の伝統的な手法です。過去には、新華社の海外記者が明確にスパイであるとされていました。しかし現在は、メディアの多様化により、必ずしも大手報道機関の記者である必要はなく、社会的な印象を持たせやすい立場にあります」

米国在住の時事評論家、邢天行氏は、ドイツが今回中共スパイの問題を提起した背景について、これらの人物によるスパイ活動があまりにも横行している可能性があると指摘しています。

邢天行氏
「(ドイツが)今回、特に記者という身分を取り上げたのは、中共に対し、すでに多くの証拠を掌握していることを明確に示すものです。どの記者がどのような活動をしているのか、ドイツ側は把握しているということでしょう。また、記者を派遣する際には注意するよう求める警告でもあります」

中共が記者を利用して欧州諸国で諜報活動を行っていることに対し、広範な警戒が高まっています。

2020年、英国当局は中国の記者3人を追放しました。この3人は中共国家安全部の所属で、それぞれ英国の異なる報道機関に配属されていました。英国の情報機関が彼らのスパイ活動を確認した後、国外退去処分を下しました。

盛雪氏
「長年にわたり、中国のメディアはほぼすべての西側諸国、すべての民主国家に進出しています。記者として活動することで、政界、学界、経済界、そして芸術界にも簡単に接触できるという非常に便利な立場を持っています。ターゲットとなる人物がいれば、接触の糸口を見つけ出し、容易に近づくことが可能です」

今年4月、スウェーデンに20年間居住し、中共の対外プロパガンダに従事していた中国人記者、陳雪霏氏が「安全を脅かす活動」に関与した疑いでスウェーデン政府によって国外追放されました。

同じく4月、ドイツでは中共のためにスパイ活動を行った疑いで3人のドイツ人を逮捕しました。さらに10月、ドイツ当局は別の中国人女性を逮捕し、北京に情報を伝達していたとして告発しました。

盛雪氏
「他の分野にも多くありますが、私も特にこのような状況を分析したことがあります。人と接触する機会が特に多い業界では、中共がこれらの業界の肩書きを利用してスパイを潜伏させる可能性があります」

ノルウェーの情報機関は2月に報告書を発表し、中共のスパイ活動が「欧州全域に広がってます」と警告しました。

10月初め、ドイツのメディアが中共の秘密工作員リストを公開しました。そのリストには47人が記載されており、一部は中共統一戦線工作部と関係を持ち、さらに一部はドイツ連邦政府の政界関係者と密接な繋がりがあるといいます。

スウェーデンのメディアも「中共代理人」のリストを公開しました。このリストには233人が記載されており、中共の統一戦線システムと関係があるとされています。しかし、これは氷山の一角に過ぎないとみられています。

米国のシンクタンクは報告を発表し、中共の統一戦線システムに属する少なくとも103の組織がスウェーデンのさまざまな分野に広がっていることを明らかにしました。

 
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